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狼と犬と狐-8

「名前を教えてくれる?」 「ッ……仲間が呼ぶのを、聞いてた、だろ」 「貴方の口からちゃんと聞きたいの」 「ん……っあ……っ」 雨風をしのぐことができる洞穴の奥。 「……俺とお前は……今日出会ったばかりだ」 それなのにどうしてこんなことを。 服を着たままのロボは黒服が乱れつつあるリコを上目遣いに見、口内でゆっくり温めていた彼のモノをちゅっと軽めに吸い上げた。 「んっ」 「だからなに……? なにか問題でも?」 すっかり熱を帯びて硬くなった隆起を次は利き手で愛撫しながらロボは岩壁にもたれていたリコを覗き込んだ。 「淋しがり屋さん、お名前は?」 「……リコだ」 「アタシはロボよ」 「んっ」 ロボにキスされてリコは声を詰まらせた。 速く走ることにばかり専念していた弟狼と同様、ピアスからリーダーの座を引き継ぎ、群れのために身を尽くしてこういうことにまるで免疫がない黒狼の若雄。 「もしかして初めて?」 「……悪いか」 シャツが肌蹴て曝された胸を大きく上下させ、緩く握り込まれた隆起から次々と先走りを滴らせて。 成す術がないリコは恥ずかしそうに顔を逸らした。 「……喰狼が貴方を狙ったの、わかる気がする」 聞き捨てならない台詞に憤慨して視線を戻せば隙のない微笑にぶつかった。 「貴方、美味しそうだもの」 一段と濡れそぼった辺りをクチュ、クチュ、親指で鳴らされる。 ペニスの括れを細やかに擦り上げられる。 「あ……っぅ……っ」 「骨まで食べ甲斐ありそう」 「あっあっあっ」 長い五指が絡みついたかと思えば上下し、明らかに射精を促す手つきにリコは身を捩じらせた。 「それ、やめ……っ」 「いいのよ……? いって?」 「ぅぅ……っふぅぅぅ……ッ、んんん……!」 ロボにしがみついてリコは精を放った。 規則正しく律動していた長い五指を瞬く間に濡らし、びゅくり、勢いよく白濁飛沫を弾いた。 こんなこと、本当、どうして……。 「い、嫌だ……怖い……」 自身の服を背にして仰向けになったリコは真上に迫るロボを咄嗟に押し退けようとした。 「怖いの? こどもみたい」 「ッ……ガキじゃないッ」 「強がらないで? そうね、初めてだものね、そりゃあ怯えちゃうわよね……」 先程から視線が明後日の方向へ逃げがちな何とも初々しいリコの耳元にロボは囁きかける。 「窒息しそうなくらい優しくしてあげる」 「ッ……あ、待っ……あ、あ、あ」 「だから……アタシに身を委ねて、リコ……?」 ロボの熱源がリコのナカに挿入ってきた。 初めてとは思えないほど我が身に馴染んだ蒼狼に黒狼は目を見開かせる。 「……貴方のナカ、何だか懐かしい」 すでに予感があったロボは涙が止まらないリコの額に額を寄せ、アイパッチに閉ざされた古傷にそっと口づけた。 「アタシと貴方。きっとツガイなんだわ」 「ッ……蒼狼とツガイなんか……ッ願い下げだッ、どうせ……お前はまた遠くへ……」 「やっと巡り会えた運命を置き去りになんかしない」 「……ロボ」 「必ず貴方の元へ帰ってくる。貴方がアタシの巣。唯一の住処」 次はアタシを思って鳴いてね、愛しい黒狼さん? 次の場所を目指して訪れたばかりの森を抜けようとしていたロボは彼らに出くわした。 「あ、ロボだ! ねぇねぇっ、ピアス、ロボだよ! 嘘じゃなかったでしょ! 蒼狼だよ!」 真っ白犬の月の背後にいた黒狼のピアスは蒼狼のロボを物珍しそうに眺めていた。 『ピアスは俺の全てだったんだ』 「貴方がピアスね」 「まぁな」 「ロボ、ピアスのこと知ってるの!?」 ロボは駆け寄ってきた月に笑いかけた。 「勇敢で仲間思い、そして、無神経でがさつで大雑把」 「すごい! なんでそんなよく知ってるの!?」 「おい、月、てめぇなぁ……」 喰狼に襲われた日、もしもアタシがそばにいたら。 貴方に傷一つだって負わせたりしなかったわ、リコ。 end

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