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罪なヒトと名無しのケダモノ-2

「すまない、許してくれ……、……」 体の弱い美女の父親は、その蒼白な首筋を乱れた襟元から闇夜に曝して、うっすら色づく唇でかつての野獣の名を呼んだ。 女性のように柔らかな手がケダモノの醜い顔をそっと撫でる。 かつての野獣ならば待ち望んでいたその手に恭しく口づけたかもしれない。 しかし、今、ケダモノと成り果てた野獣は。 牙で咬みつくのではなく。 長く厚い舌で、彼の手を、舐めた。 「ッ……」 手を、頬を、首筋を。 かつて望んでいた男の肌を舐め回した。 ……俺ハ野獣、醜い、醜イ、ケモノ……。 ……美しイ、彼は、きっと、手に入らなイ……愛してくれなイ……。 ……それならバ、娘、ヲ……。 真実の愛なんて得られるわけがなかった。 愛していなかったのは野獣の方なのだから。 そばにおいた美女にいつだって父親の面影を求めていたのだから。 「あ……く……」 かつての記憶に引き摺られるがまま、ケダモノは、夢中になった。 爪で服を裂き、隅々まで、舐め回した。 胸の突端に咲く花芯じみた突起も。 獣舌による愛撫に熟してしまった果肉も。 ひくひくと震える蕾も、余すことなく。 「あ……あ……ん……」 ケダモノにのしかかられた美女の父親は冷たい土の上で身を捩らせた。 股間からべちゃべちゃとはしたない音がする。 懸命に逸らしていた視線をおずおずと向けてみれば、ケダモノが、育ちきった果肉とひくつく蕾を一緒くたに何度も舐め上げていた。 「ッ…………!」 こんなこと、誰からも、許されない。 それなのに、私は、はしたなく感じて。 野獣からケダモノとなった彼にならばどんな姿を晒してもいいような気さえしてくる。 再び頭上高くに現れた月の下。 彼は自らケダモノの眼下でゆっくり体の向きを変えた。 うつ伏せとなり、ケダモノの唾液でびっしょり濡れてしまった尻をぎこちなく突き出して……執拗な舌でふやけてしまうのではと案じた蕾に指を添えて。 「ここに……君の……」 男の私が彼に真実の愛を与えられるわけがない、だから、娘を差し出した。 『魔法?』 『ああ、そうダ、真実の愛を得られタラ、この魔法は……呪いはトける』 だって、男の私が、彼に愛されるわけがないから。 愛し愛されなければ魔法は解けなかったから。 ただ愛するだけじゃ駄目だったから。 「君が……欲しい……」 私は卑怯だね。 ケダモノとなった君に貫かれることを望んで、自分勝手で、罪深いね。 それでも私は君が欲しいんだ。 荒れ果てた庭に紡がれる淫らで不道徳な音色。 超えてはならない境界線が踏み躙られる音。 「あ……っん……あっ……あっ……あっ……あっ」 凶暴なる猛々しいケダモノ男根が人間の後孔に呑み込まれている。 それはそれは小さな肉孔をぱっくりと四方拡張し、黒く太く長く熱い熱い剛直ペニスが疎ましい抵抗感を無視して、激しく出し入れされている。 「あーーーー……っっ……!!」 美女の父親は双眸から、唇から、熟した果肉から、雫を散らした。 剥き出しの双丘にケダモノの毛深い腰が重なり、ケダモノ男根がすべて体内におさまると、次から次に溢れ出て途切れなくなった。 「あつ、い…………君の、私のこ、んな……奥、ま、で…………奥で、動いてる、の…………わかるよ…………?」 彼は片手で自分の腹をなぞった。 まるで身ごもった聖母のように、いとおしそうに、自分の肉越しに野獣の熱塊に触れた。 「うれしい………………」 残骸と化した服がまだ引っ掛かる彼の背にケダモノの唾液が滴った。 繰り返される短く荒い呼吸。 月明かりに牙が不敵に光る。 体中の毛を逆立たせ、頻りに尾を翻し、強靭なる腰を突き動かす。 ケダモノは月夜を仰いで再び咆哮を。 荒ぶる律動の末、美女の父親の奥の奥の奥深くで、剛直ペニスをぶるぅりと派手に痙攣させ、種付けに至った。 彼は壊れてしまうのではないかというくらいに全身を痙攣させた。 草むらは彼自身の雫で湿り渡っている。 下肢の辺りなどは、特に。 しばらくして、ぶるぶると痙攣を続ける肉孔から剛直ペニスが引き抜かれた。 すると。 濃密なるケダモノの子種が彼の緩んでしまった後孔から一気に溢れ、流れ落ちた。 「あ………………すご、い………………」 虚脱寸前である美女の父親を、ケダモノは、労わるようにまた舐める。 人の心を取り戻したわけではない。 獣だって、仲間を、パートナーを思いやる獣なりの心がある。 「……ありがとう……」 嬉しくて彼は微笑んだ。

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