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僕は鈴木( ̄▼ ̄*)/実験助手×不良←触手

今日は仁貝(じんがい)学園の文化祭です。 生徒の皆さん、とっても楽しそうです、生徒に誘われて出し物などを見て回っている先生方も心なしか浮かれているようです。 いやはや、平和です。 本当は今日、来なくてもよかったんですけど、今日が文化祭だというのをうっかり忘れて来てしまいました。 授業がないから実験の準備をする必要もないし帰りましょうかね。 「あ、鈴木」 賑やかな学校を後にして校門へ向かっていたら。 丁度校門を潜って一般生徒よりも遅い頃合に登校する彼とばったり。 公平クンだ。 明らかに染めたとわかる茶髪、着崩した制服、手ぶらで両手はポケット。 時々、喫煙もしている彼はいわゆる不良というやつ。 「おはよう、公平クン」 「どっかお遣いかよ?」 「いいえ。今日が文化祭だということをうっかり忘れて来てしまって。帰るところです」 「白衣着たまま帰んのか?」 「これは自前だよ、僕の通勤着」 「……変人」 そういえば公平クンのクラスはおばけやしき、でしたっけ。 午前中後半の受付を任されて、めんどくせぇ、とか言ってましたっけ。 「せっかくだから来いよ」 「え?」 「おばけやしき。どーせ暇なんだろ」 公平クンに腕を掴まれて校内へ逆戻り。 3号館2Fにある1Cの教室……かと思いきや、特別教室が集まる4号館3Fの視聴覚室まで連れてこられました。 「教室じゃないんだね」 「こっちの方が広いし、暗幕あって暗いだろ」 「なるほど」 まだ自分が受付をやるまで時間がある公平クン、午前中前半担当の受付をしているクラスメートに一言二言声をかけ、扉をガラリと開き、真っ暗な中へエスコートしてくれた。 やたら騒々しい足音がどこからともなくしたかと思えば「きゃーっ」とか「わー!!」なんて悲鳴が聞こえてくる。 パーテーションで区切られた通路は狭い。 不気味な写真やイラストがぺたぺた、お経みたいな文字が書かれた半紙がぺらぺら。 「お前んちの方が断然怖いよな」 前を進む公平クン。 天気のいい外は明るくて、まだ午前中なのに、こうも暗い涼しい場所で彼といっしょにいると。 こう、何だか、ムズムズしてくるといいますか。 滾ると言いますか。 押し倒して悪戯の限りを尽くしたくなるといいますか。 だって、公平クン、とっても可愛いんです。 「わっ?」 ほら、後ろからいきなり抱きしめてあげたりなんかしたら女の子みたいにびっくりして。 あー可愛いなぁ、ぱんどらとばべるが夢中になるのもわかるよ、うん。 「こンの変人変態助手がッ!離しやがれッ!」 「公平クン」 「うぎゃッこんなトコでキスすんじゃねぇ!」 暗くても腕の中の公平クンが真っ赤になっているのがわかった。 もっときつくぎゅっとしてあげればビクンと震える体。 耳たぶをぱくっと浅く口にしたら「んにゃっ」と仔猫みたいに鳴いて。 そのまま唇を奪おうとしたら背後に気配が、どうやら後から入ってきた生徒が追い着いたらしい、女の子の笑い声が割と近くから聞こえてきた。 「離せ!」 びっくりした公平クンに全力で抗われて床に突き飛ばされて。 白衣のポケットに入っていたソレが空中に投げ出されて。 がちゃん!がちゃん! 「ままー★」 「ぐるるるる★」 絶叫に包まれたおばけやしき。

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