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【わんこ】ご主人様はペット希望!?/飼い犬×御主人様←変態ストーカー/入れ代わり
ソメイヨシノに囲まれた桜ノ森学園随一の美貌を誇る有栖川玲 。
物静かな麗しの君は全校生徒の憧れの的。
常に薫風寄り添う彼が歩けば居合わせた生徒はたちまち虜となり、胸を淡くときめかせる。
まるでこの学園の妖精とでも謳うように「桜ノ神〈さくらのかみ〉」と呼んで謹んで慕っていた。
「はぁはぁ、今日の桜ノ神もまた美しいです……!」
もちろんよからぬ欲望を抱く生徒もいる。
最もいい例なのが柱の影から盗み見しているこの生徒、緒賀狂也 、桜ノ森学園随一の変態男子だ。
盗み見は日常茶飯事、スマホで盗み撮りなど朝飯前、夜には桜ノ神をおかずにしてしこっちゃうようなイタイ男子だ。
「ばっかじゃないの、桜ノ神があんたなんか相手にするわけないじゃない、きも!」
一般向けストーリーならば恋愛フラグがすぐさま立ちそうな幼馴染み女子が彼の背後でぶつくさ文句を言っている。
一般向けストーリーじゃないので狂也は幼馴染み女子をガン無視する。
桜ノ神こと玲はそんな狂也に困ったように微笑してみせるのだ。
「ごめんね、君の気持ちには応えられない、緒賀君」
いーんです!
毎日貴方を拝めることができれば、しこっていられれば、それでいーんです!
まっことイタイ男子、狂也は放課後も玲に付き纏う。
父親が総合病院の外科部長、母親がデザイナーという家族構成はもちろんのこと、お住まいも当然把握していた。
「さ、行こう、アンジェラ?」
桜ノ神は一頭の大型犬を飼っていた。
警察、軍でも飼育され訓練されている有名なあの犬種だ。
かっこいい、さも聡明そうな、立ち耳のアンジェラは狂也を敵視している。
「ガルルルルル!!」
今日は虫の居所が悪かったのか、珍しく桜ノ神の制止を振り切り、電柱の影ではぁはぁ盗み見ていた狂也の元へ凄まじい気迫で駆け出したではないか。
狂也は慌てて一目散に逃げ出す。
アンジェラはどんどん外敵と見做した目標への距離を縮めていく。
あとちょっとでアンジェラの鼻先が狂也のお尻に届きそうに……。
どん!!!!!!!!!
……いたたたたた。
……なんか全身が痛い。
……やっば、携帯落としたよな、データ大丈夫かな。
「きゅーーん…………」
ん、なんか変な声出たな、喉やっちゃったか?
ていうか俺さっき車にぶつかんなかったっけ?
「うそだろ、大丈夫かい、君!?」
狂也は何度も瞬きした。
視線の先には、知らない男にぺちぺち頬を叩かれている、目を瞑った自分の姿が……。
狂也と犬のアンジェラは入れ代わってしまった。
曲がり角から道路へ飛び出した瞬間、丁度やってきた走行車に共にぶつかったショックによるものだった。
運転手やぴーぽーぴーぽーやってきた救急隊員の眼中にまるで入ることなく、アスファルトの隅っこにぺちゃんと寝ていた狂也は、意識のない自分の体が救急車へ運ばれていくのを眺めていた……。
「ああ、アンジェラ!」
出て行ったときと特に何ら変わりない様子で家へ戻ってきたアンジェラに玲はほっとした。
学校では決して見せない、不安に曇っていた表情をぱあっと花開くように綻ばせて、愛犬の元へ駆け寄る。
「心配していたんだよ、大丈夫? どこも怪我していない?」
「クーン」
引き締まったシャープな体に抱きつき、硬い直毛に覆われた背中を安心させるように撫でてやれば、アンジェラはすりすり玲に擦り寄った。
「お水、飲もうね。今日も二人きりだからいいお肉食べさせてあげる」
ちゃんと門扉を閉じ、すでに夕食の準備を済ませて家政婦の帰った三階建てのお住まいへ、玲は愛犬を伴って帰宅する。
夕日で染まった雑木林で響き渡るカラスの鳴き声にふと足を止め、彼は、何となく振り返った。
「そういえばさっき救急車が近所に……また角の煙草屋のおばあさんが呼んだのかな」
狂也のことは全く意識にない桜ノ神なのであった。
幸せとはまさにこのことか。
桜ノ神が俺に笑いかけてくれる。
それどころか頭を撫で、抱きつき、添い寝までしてくれる。
神様、ありがとうございます、仏様、ありがとうございます。
「アンジェラ、今日はとってもご機嫌だね?」
吹き抜けの広々としたリビング、ソファの上で恋人同士みたいに寄り添ってくれる玲に狂也はクンクン擦り寄る。
長い大きな舌でべろべろ頬を舐めた。
「ふふ、くすぐったい」
ああ、これぞ幸せの味。
尻尾をぱたぱたさせて至福感にどっぷり浸かっている狂也に玲は囁いた。
「お部屋で遊ぼうか、ね、アンジェラ?」
溶けたバターの香りが整然と片づけられた部屋の中にふんわり満ちていく。
玲は子犬の頃から育ててきたアンジェラのことが大好きだった。
大好きで、大好きで、大好きで。
それはいつしか恋愛感情にまで至った。
「ね……またいつもみたいに……して、アンジェラ?」
だからこんな遊びを思いついた。
鍋で湯煎したバターを体の一箇所に滴らせ、大好きな愛犬に舐めてもらう、誰にも秘密の戯れ。
シングルベッドに仰向けになったバスローブ姿の玲は大胆に足を開いて溶かしたバターに濡れる場所を見せつける。
ベッド下に座るアンジェラに向けて。
アンジェラはしなやかに跳躍してベッドに軽々と飛び乗ってきた。
ぎしりと、スプリングが軋む。
玲はさらに足を広げる。
爪の揃えられた足先からふくらはぎ、膝、内腿へと、アンジェラはふんふん匂いを嗅いでいく。
湿った鼻先が瑞々しい肌に当たる度、玲は、冴え冴えとした美貌に快楽のヒビを許す。
「早く……早く、アンジェラ……ぺろぺろして……?」
麗しの唇が不埒な言葉を零す。
アンジェラは飼い主の命令に従った。
ざらついた長く大きな力強い舌をご主人様のペニスに伸ばした。
「は……っぁぁん……!」
最初の一舐めに玲は絶頂さながらの反応を見せた。
幾分冷ましていたバターの温かなとろみですでに勃起していたペニスを舐められた瞬間、びりびりと電流じみた刺激が全身を駆け抜け、ベッドの上で大きく仰け反った。
愛犬の唾液と溶けたバターが混ざり合い、肉厚の舌で舐められる度に、えっちな音が立つ。
「ぁぁ……ぁぁん……っぁ……っぁ……アンジェ……っもっと舐めて……もっと……」
双眸を背徳的快楽の涙で濡らし、口内に唾液をたっぷり溜め、玲は悩ましげに腰をくねらせる。
長い睫毛をずっと震わせて、うっすら色づいた唇を頻りに開閉させて。
玲は肌蹴たバスローブの間に覗く乳首を自らいじり始めた。
ピアノソナタを暗記している指先で独りでに尖った突起を自己愛撫する。
アンジェラの大量の涎であっという間にぬるぬるになったペニス。
激しく上下に何度も舐められ、愛犬の健気なご奉仕に一気に上り詰めて。
玲は開かせた両足をぶるぶるぞくぞくさせながら乳首をぎゅぅぅっと抓った。
「あん……っいく……っアンジェの舌でいっちゃぅ…………」
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