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おすふぇろもんではらませて-4

どこにでもいそうな、極々ありふれた、これといった特徴のない。 「新しい絵具買いたいけど、高いんです。バイトしたいけど、バイト先がない」 だから日高は彼を選んだ。 希少種で神秘的な黒虎に平凡極まりない普通の生徒が選ばれるわけがないと思った。 「先生の友達の家で家事手伝いのバイト……ですか?」 一度も染めたことのない髪、至って平均的な体型、集合写真ではいつも後ろに控えがちな大人しい性格。 美術部に入部するほど上手じゃないからと謙遜して好きなときに好きな場所で趣味の水彩画を描いていた。 気紛れに指導してやれば「美術部じゃないのにすみません」と最初は申し訳なさそうにしながらも嬉しそうに筆を走らせていた。 まだまだこども。 『彼女、いないです。好きなコは中学のときに、片想いでしたけど』 異性や恋愛への興味はそれなりにある、だけど奥手で不純異性交遊はしばらく先の話、日高の目にはそう写っていた。 それが。 「あーーーー……っっっ」 雨宮が黒虎と交尾してる。 獣と。 獣二頭と。 「せん、せ……っ……ごめんなさい……っごめんなさい……っ」 レトロなアンティークが家具を占める薄暗い居間の片隅で生徒の雨宮時生が黒虎にのしかかられている姿に教師の日高は釘付けになっていた。 今すぐにでも止めるべきなのに足が動かない。 性欲に縁遠いはずだった生徒が獣と交わっている禁忌(タブー)がそれはそれは衝撃的で。 シャツはビリビリだが掠り傷一つ負っていない肌は満遍なく汗をかいていた。 上半身はソファに縋って床上に投げ出された下半身。 ぴたりと密着した黒虎の腰が頻りに揺れている。 恐るべき性フェロモンに誘発されて独りでに蕩けた尻穴。 硬く太く育ちきった雄の象徴が目一杯潜り込んでいる。 張りついてくる肉襞を巻き込んで深く重く出入りしている。 「あ……っっあ……っっあ……っっ」 痛がるどころか。 時生は感じていた。 自身のペニスも勃起させて、天辺をぐっしょり濡らして、汁糸まで滴らせていた。 蝉時雨も蜩の鳴き声も止んで暗く静かな室内に生々しげに奏でられる抽挿音。 抑えられずに溢れ出る上擦った喘ぎ声。 「あ……っん……っ」 お前、雨宮、そんな声。 お前がそんな顔するなんて。 獣のペニスに体の奥まで抉じ開けられて、痛がって怯えるどころか、すっかり身を任せて。 「あ…………」 尻奥であたためられた獣男根がずるるるるるるる……と引き摺り出された。 ビクっ、ビクっ、平均サイズの肢体が哀れなくらい痙攣する。 締まりきらずにだらしなく開いたままの肉孔。 透明な粘液に塗れて淡く艶めいている。 そこへ。 別の獣男根が。 片割れの交尾をすぐそばで見守っていたもう一頭のペニスが待ち遠しかったといわんばかりに速やかに訪れた。 「ん……っっっ」 ビクっ、ビクっ、ビクっ、ビクっ 抜かれていくときよりも過剰に痙攣した体。 ソファに埋めていた顔をもぞりと上げて新たにのしかかってきた黒虎を見上げる潤んだ目。 「……鏡……」 時生は隻眼の双子弟、鏡に笑いかけた。 膨張した睾丸を小刻みに揺らして獣男根を勇ましく打ちつけてくる黒虎の頭を震える手で撫でた。 「雨宮」 日高は無意識に生徒を呼号した。 その隣で、社もまた、これまで精一杯バイトに励んでいた時生が大切に育ててきた黒虎の双子と交尾する禁忌を見つめていた。

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