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【蛙】プリンスなカエル/カエル王子×毒舌美人執事/童話パロ

あるところにそれは美しい王子様がいました。 が、しかーし、美しいのは見た目だけ。 性格どブスの我侭暴君である王子様のパワハラに城の人々はストレスを溜め込む一方でした。 「おぼっちゃま、いい加減そのスカスカな脳内に知識を溜め込んだらいかがでしょう?」 ただ一人、王子にぞんざいな口が利けたのは執事のシャルロだけ。 そんな王子様にかけられた呪い。 性格どブスの王子様は女癖も悪く、美人がいると聞けば金でほいほい釣り上げ、飽きたらポイ捨て、その繰り返しでした。 その被害者の会の中に、なんと、魔女の子孫がいたのです。 彼女は往復ビンタでも溜飲下がらぬその激情を呪いに乗せて王子に届けました。 美しい姿形が世にも醜悪なモノへと変わるよう。 「けろけろけろ!?」 王子はカエルにされてしまったのです。 城の人々はおぞましい姿となった王子に悲鳴を上げ、罵声を浴びせ、長いこと未払いにされていた給料代わりに金目のものを奪って去っていきました。 荒らされたホールに一人、いえ、一匹とり残されたカエル王子。 まるでアマガエルが巨大化したような、艶々ひんやりした緑色の肌に、ぎょろぎょろ動く目玉。 頭の天辺には唯一の王子の名残りである王冠がちょこん。 カエル王子は一匹、泣きました、いえ、鳴きました。 「けろけろけろ~……」 ああ、僕はひとりぼっちになってしまった。 きっと、こんな醜い姿でこれから一生、ひとりぼっちで生きていかなきゃならないんだろうな。 ぐるるるる~ お腹が空いたカエル王子。 何か目ぼしいものが厨房に残っていないかと、びょんびょん飛び跳ね、切り裂かれたカーテンの垂れ下がる長い通路を進んでいたら。 お気に入りのアールグレイの芳香が漂ってくるではありませんか。 ぎょろ目を向けた先にゆっくりと現れたのは、ワゴンを引いた、執事のシャルロでした。 「ああ、おぼっちゃま、ティータイムが遅れてしまい申し訳ありません」 黒髪を撫でつけた、片眼鏡の、恐ろしく燕尾服の似合う細身のシャルロは、今までに一度も見たことのないような、それは優しい微笑を浮かべていて。 『またティータイムですか、さっきもしたでしょうが、その身空でメタボにでもなるおつもりですか、おぼっちゃまは』 いつもは切れ長な双眸を冷え切らせて、薄い唇を酷薄そうに歪め、嘲笑っていたのが、嘘のようです。 驚きのあまり通路でぺちゃりと座り込むカエル王子。 そんな緑色の王子の元へ到着すると、自分の腰の高さほどある図体のカエル王子の目の高さに合うよう、シャルロはしゃがみ込みました。 シャルロ、お前、僕が醜くないの? 「けろけろけろ?」 「うふふ、おぼっちゃま、そんなにお腹が空かれましたか?」 けろけろ語は当然人間であるシャルロに通じず、彼は、通路の床でティータイムの準備を始めます。 「御姿が以前と違いますからね、テーブルよりこちらの方が具合が宜しいかと」 焼き立てのスコーン、添えられたクリーム、甘いチョコレート、お気に入りのアールグレイ。 お腹が空いていたカエル王子は夢中で食べ始めました。 それは見ていられない醜い食事ぶりでした。 普通の人間ならば顔色を悪くして、下手すれば吐き気すら催すに違いないでしょう。 ですが、シャルロは、いとおしげに微笑むばかり。 普段のシャルロならばこう言うでしょう。 『なんって、はしたない……おぼっちゃまは豚ですか、飢えれば何だって、そう、死肉にだって喰らいつく豚畜生でございますか』 一体全体、シャルロはどうしたというのでしょう。

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