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プリンスなカエル-4
自分たち以外は誰も住んでいない城に戻ってきたカエル王子とシャルロ。
そんな一匹と一人を門前で出迎えたものたちがいました。
「シャルロ!」
「……また来られたのですか、アルカライン侯」
こことはまた別の領地を治める城主、三十路ばついち王様のアルカラインと、その従者たちです。
「こんな荒れ果てた住処など捨て置いて私の城へ来てくれ、愛しいシャルロ?」
バイセクシャルでスキャンダラスな王様のアルカライン、カエル王子の城が崩落したと聞き知るや否や、こうして美人執事を自ら己の城へ勧誘しにきているのです。
この国一番の仕立て屋につくってもらった立派な外衣を着こなした色男に白革手袋に包まれた片手をとられ、ぎゅっと握り込まれたシャルロ。
カエル王子がどきどきおろおろ見守る中、彼は上品な微笑みを麗しい顔に添え、言います。
「アルカライン侯、わたくし、こちらのおぼっちゃまに生涯尽くすことをお約束しているのです」
「そんな! あ、じゃあなんならカエルにも来てもらったらいい、ペットとして庭園で放し飼いだ、きっとアメンボと友達に、」
「わたくしは貴方様の性交お友達になるつもりはありませんよ、アルカライン侯、お抱え娼夫がおりますでしょう、そちらにいらっしゃる従者の数人からも貴方様の香水と体液の匂いが漂ってきますよ、しばらくお控えになられて次のお妃様にお注ぎになって、早く次期当主をお孕みさせるのがよろしいかと、では、この辺で失礼を」
くるりと華麗に回れ右をしたシャルロ、カエル王子のひんやり冷たい手をとってボロボロお城に戻るのでした。
さて、思いも寄らぬ展開を一番おもしろくないと感じているものがおりました。
美しかった王子に呪いを届けた張本人、魔女の血を引く元カノです。
まさか美人執事の審美眼がとち狂っていて、ど醜いカエル王子のそばに前にもまして寄り添うことになろうとは、予想もしていませんでした。
水晶玉でシャルロとカエル王子のらぶらぶっぷりを盗み見していた彼女は決めました。
もっと醜悪なる呪いをカエル王子に届けることを!
哀れ、それまでアマガエルだったカエル王子は。
さらに哀れ、イボイボガマガエルの姿に変えられてしまったのです。
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