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真夏の夜の悪夢!廃病院で触手退散!?霊能者助手に降りかかる過激触診!!/触手×霊能者助手
夕闇迫る雑木林に蜩の鳴き声が木霊する。
「鈴木先生、何卒、宜しくお願い致します」
雑木林に囲まれるようにして建つ廃病院。
日中においても不気味な雰囲気を醸し出す蔦だらけのソレは夏の夜を前にして迫力満点、そこいらのお化け屋敷を軽く凌駕する恐怖感に満ちていた。
「わかりました、お任せください」
夏の盛りだというのに冷えた風が彼等の狭間を吹き抜けていく。
知る人ぞ知る凄腕霊能者の鈴木。
青ざめた顔で汗を拭う依頼人達。
そして。
今回は一体どんな悪しき霊が待ち構えているんだろう?
鈴木の助手である公平。
鈴木の霊能事務所にその依頼が舞い込んだのはつい先日のことだった。
郊外の町外れに聳える、十年以上前に経営難で閉鎖された個人病院の解体作業が何モノかによって阻まれ続けているという。
不意にガラスを割り、天井裏で騒がしい音を立て、階段で足を掬い複数の人間を転落させて負傷させた、度々入れ替わる業者をひたすら拒む何か。
これ以上怪我人を出さずに速やかに廃虚を処分してしまいたいと、土地の所有者は鈴木の元へ相談にやってきたのだ。
「そ、それにしても今までで一番不気味なところですね」
すでに廃病院内部に足を踏み入れていた霊能者鈴木と助手の公平。
空気が重たい。
見えない何かをおんぶしているような心地に公平は冷や汗が止まらない。
「そうですね」と、黒装束姿に眼鏡をかけた糸目狐目の鈴木は涼しげに返事をする。
「僕から離れないようにね、公平君」
「先生、何だか俺、さっきから視線を感じるっていうか」
「うん?」
「今まで色んな場所へお祓いに行きましたけど、こんなの初めてっていうか……」
人並みに怖がりな公平は自分より上背ある鈴木の片腕にしがみついている。
それでも霊能者の助手をやっているのは、まぁ昔悪しき霊から救ってもらった恩があって、まぁそれはまた別の話扱いになるわけで。
そんな公平を疎ましく思うでもなく彼の好きにさせている鈴木は涼しげに笑った。
「僕も一人だときっと心細かったですよ。君という助手がいてくれて大変心強いです」
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