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幽霊なのに感じちゃう!?俺の未練は童貞卒業!触手による処女喪失じゃねぇ!!-2
「な……っンだよコレぇっ、なんじゃこりゃあっ、ひぃ……っひいいいいいい!!!!」
今現在は使用されていない木造の旧校舎。
旧実験室の暗幕にところどころ見受けられる裂け目には毒々しい夕日が満ち、饐えた匂いが広がる室内を限定的に不穏に照らし出していた。
「おい鈴木っ、てめっ、これ一体なんだよマジでよぉッッッ!!??」
実験室後方、窓際角のところで公平を締め上げるソレまでもが不気味に浮かび上がっている。
いわゆる触手というやつだ。
卑猥な肉色をした、ぬるぬるっとした、つるつるっとした、太めサイズの複数の触手が不良幽霊に縦横無尽にぐるんぐるん絡みつき、まるで「たかいたかーい」するように天井際まで持ち上げているではないか。
「俺ぁなぁッ、死んでからは誰にも触れなかったし、触られなかったんだぞ! それが何でッ、この気持ち悪ぃコレッ、俺のこと縛り上げてんだッ、つぅか何でお前俺が見えんだよ!?」
感覚などなかったはずが、息苦しく、気持ち悪く、わけがわからない公平。
触手に捕らわれて混乱する不良幽霊をにこにこと見上げる、飄々たる佇まいの鈴木。
「それはね、触手ですよ、公平君」
その触手、実際どこから発生しているのかというと。
鈴木が羽織る白衣の左袖口からぬるぬるぞろぞろ生えていた。
「僕ぁね、触手憑き、なんです」
正確に言うならば鈴木の一族が、触手憑き、というもので。
霊力の強い鈴木家長男の片手に代々宿ってきた、触手の、ばけもの。
祖先が自分の体に封じ込めたとか、生贄として捧げられたとか、言い伝えは様々あるが真実はわかっておらず。
とにもかくにも、当主によっては飼い慣らして使役しては、この世のものならざる悪しき異形を斃してきたとか、どーとか。
「僕の一族、すごいでしょう?」
にこやかに話を続ける鈴木を見下ろして、公平は、ぞっとした。
つまり、なんだ。
俺、退治されんのか。
一回死んだのに、もっかい死ねって、か。
「君のこと、この学校に初めて来たときから知っていたよ」
左の袖口から触手がぬるぬるぞろぞろ生えているという状況下、鈴木は、一枚の古ぼけたクラス写真を右手に持っていた。
「×年前に交通事故で亡くなったそうだね。それからずっとひとりで彷徨っていたんだ? 淋しかったでしょうに」
こちらに向かってメンチを切るセピア色の公平と、目の前で触手にうねうね集られて絶句している公平を見比べ、鈴木は掴み所のない笑顔を深めた。
「でも、もう、安心していいよ?」
やべぇ。
退治される。
もう淋しさも感じなくなる、あの世送りにしてやる、そーいう意味に違いねぇ。
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