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夜のパトロールは危険がいっぱい!?気をつけて!触手青姦にご注意!!-4
「今日の晩飯はソーメンでいいか、しかし五月にしては暑過ぎやしないか、水分補給はこまめに、ッ、うわあああああ!!」
駐在所と繋がる平屋造りの住居、台所で蛇口を捻った公平は思わず情けない悲鳴を上げた。
ここはド田舎、いつだって新鮮なお水が飲み放題、しかし何とはなしに蛇口を捻れば出てきたのは水道水ではなく。
触手だった。
細めのやつが複数、にょろにょろ飛び出してきて、昼食前に水を一杯飲もうとしていた公平は青ざめた。
「おい……ウチの水道はこれからずっと触手を出し続けるっていうのかよ……」
「まさか。そんなことありませんよ、お巡りさん」
制帽を脱いだ巡査長はキッと振り返り、飄々とした様子で後ろに立っていた鈴木少年を睨んだ。
「主様のちょっとしたオイタです」
「どこがちょっとしたオイタだ、うう……」
蛇口から伸びた触手が頬にぬるぬる擦り寄ってくる。
正直、気持ち悪い。
だが、この触手はこの土地一帯を遥か昔から見守り続けている土地神だそうで、邪険にするには気が引ける。
「優しいですね、お巡りさん」
巡査長にぞっこんな触手はソフトタッチを心がけて公平に纏わりつき、じっと耐え忍んでいる彼の姿を目の当たりにした鈴木少年はクスクス笑った。
風鈴が夕風と戯れて玲瓏たる音色を奏でる。
「ごちそうさまでした」
素麺と野菜天ぷらと高菜おにぎりを平らげた公平に、向かい側で麦茶を飲んでいた鈴木少年は「お粗末さまでした」と返事を返した。
居間の窓は全開、簾は上げられて、涼しい風がそよそよ入ってくる。
「一風呂浴びて汗を流してくる」
「夜食のおにぎりは梅干し、おかか、野沢菜、どれにします?」
「……全部頼む」
食器を片づけようとしたら「僕がしますから」と言われたが、公平は鈴木少年の分も洗い場に下げ、ざっと洗い終えてからお風呂に入った。
夜間の見回りがあるので制服に着替えた公平が首にタオルを引っ掛けて居間に戻れば、照明は豆電球のみ、夜七時過ぎの宵闇の中で鈴木少年は畳にごろんと寝そべっていた。
裸足の足の甲がやたら白く見える。
「何だか幽霊の足みたいだな」
「そうですか? でも幽霊って普通足なんてないでしょう?」
「……」
「ね、お巡りさん、膝枕してください」
自分を扱き使えと言っておきながら平然と膝枕を強請ってきた鈴木少年に公平は肩を竦めた。
返事をせずに畳の上で胡坐をかけば「お邪魔しますね」と、鈴木少年は実に寝心地の悪そうな膝枕を強行した。
「後頭部が痛いです」
「正座したら足が痺れるから嫌だ」
「仕方ないですねぇ」
糸目の鈴木少年は目を瞑った。
『僕は最初で最後の主様への生贄です』
そもそも幽霊なんじゃないのか、コイツは。
あの触手の神様に生かされているんだろうか?
「ふふ、くすぐったいですよ」
頬にツンツン触れてみたら目を瞑ったまま鈴木少年は笑った。
「やっぱり冷たいな」
「低血圧なんですよ」
「……」
「あいたたた」
滑らかな頬をムニッと抓ってやれば鈴木少年は笑いながら痛がった。
絶対的な衝動に駆られて公平がキスすれば。
糸目をうっすら開かせ、濡れた前髪が目元にかかって普段より若々しく見える巡査長にそっと笑いかけた。
頭ごと引き寄せられてキスの続行を強請られた。
公平は鈴木少年の細腕に甘んじた。
冷えた唇と生温い口づけを交わす。
クチュ、クチュ、口内をゆっくり鳴らされると首筋が粟立った。
「お巡りさん、もっと」
開眼した糸目で薄ら笑いまじりに請われると腹の底がゾクゾクした。
真下から両手で顔を挟み込まれて満遍なく奪われると、もう、股間が熱くなった。
「助平なお巡りさんですね」
唾液の糸を引かせて唇を離し、鈴木少年は、すでにとろんがちな目をした公平に嬉しそうに呆れた。
「未成年に手を出すなんて」
「俺を誑かすのもいい加減にしろ」
「えぇぇえ? 僕がいつ誑かしましたっけ?」
「……でも、確かにその外見だと罪悪感を覚える」
身を起こした鈴木少年は公平の膝に片手を突かせ、罰の悪そうな顔をしている彼を覗き込んだ。
「主様、大変だなぁ、こんな貪欲助平なお巡りさんを見初めちゃうなんて」
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