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第12話

そんな可愛らしい満を見ていると身体が震える程熱い感情が走る。 カシャッ。 首にかけていたカメラで、もう一度、満を写すと宮下は、そのカメラを床に置く。 「楠木……」 罰ゲームの為に来た宮下だったけれど、予想以上の満の可愛さに、目的さえ失いかける。 今となっては、カメラなど邪魔な物に思えてくる。 満は依然、抵抗してこない、宮下は満の唇が欲しくなって長めの前髪をすいて口づけの体勢になるが、満は震える手で唇を覆い隠す。 「手、避けて」 宮下は邪魔だというように、満の手を避けようとするが、首を横に振り頑なに拒否する。 「ふ……、いいよ」 宮下は構わず、満の手の甲にキスをする。 「……っ」 満は不快をあらわにするが。 宮下は、その表情を楽しみながら手を抑えたまま、素肌へ触れ胸元をなぞる。 「……ッ」 宮下に触れられることが堪らなく嫌で、ささやかな抵抗を試みるが、どうしても本気で反撃ができなくて… 意識とは別の何か、心の奥深くの意識が自分を抑えていて動けない。 そんな抵抗で宮下に対抗できるはずもなく、宮下は素肌へ触れていた手を徐々に下げてゆき… 「本当に、男なんだ……」 そう囁く宮下は、満のズボンの中へと手を進め下着越しに満のそれを掴み揉むように触れていく… 「ッぅ、嫌ッ」 ゾクっと、背筋に悪寒が走り、はじめて嫌悪する言葉が口をついて出る。 身をよじって逃れようとするけれど、宮下は満の上着を剥ぎ、肩へ、くちづけする。 そして、胸へ舌を舐ぞらせる。 「っ!」 (ただの罰ゲームの対象で、こんな……) 屈辱感が全身をかける。 しかし、歯向かうことも、今の満には出来ない。 満は思う。 今まで、何十人と怪我をさせてきて、何の咎めもなかった自分。 これは今までの罰なのかもしれない、と。 触れてくる手、身体をなぞる舌が、屈辱に耐える満の心を震わせる。 「可愛い、本気でイけそうだ。もっと、声聞かせてくれよ」 どうすれば、満が声を出すのか探りながら、宮下はズボンの前を開け、固く猛った自分の熱棒を出してくる。 宮下は満の身体にそれを擦りつけるように密着させる。 「ッ…嫌、だ…っ」 その行動には、さすがに満も身体をビクっとさせ顔を引きつらせ、根限りの力を出して宮下の抑制から抜け出す。 が、逃れられたのは、ほんの少しだけ。 満は壁ぎわへ追い詰められ片手で両腕をまた拘束される。 そして、顔を背けて嫌がる満の綺麗な頬へ、自分のを手で促しながら擦りつける。 目の前で自慰をおこない小さく声を漏らし、ついに宮下は達して軽く飛び散る白い液体が満の頬を濡らす。 「ぅ、……ッ」 こんな屈辱的な行為をされたことがない満、ショックで声も出ずただ唇を噛み身体を震わせる。 「はぁ……」 満足気に息をつき、宮下はさらに満の唇を狙う。 宮下に片手で硬く両腕を拘束されている今は防ぎようがない。 満は避けようと顔を振るが、構わず無骨な唇を近づけてくる。 唇が触れようとした、その瞬間――。 「何をしているんだッ!」 宮下の背後で、予期せぬ声が… 「えっ!?」 ビクっと、反応し慌てて振り返る宮下。 満は、その声の主が誰なのか、すぐに分かった。 今度は幻聴なんかじゃない。 「何をしている!?」 もう一度怒鳴るその声は……。 「なッ、せ、生徒会長ッ!?」 信じられないのと、どうしよう。という気持ちで宮下の頭の中からサーと血の気が引いていく。 「こ、これは……その、罰ゲームだったんだッ、俺がしたくてやった訳じゃ……」 自分の前を慌てて隠しながら、おろおろと言い訳をする宮下。 そんな言い訳をする宮下に怒りを覚え。 「ふざけるなッ!」 久弥は宮下の襟元を掴み、その頬を手加減なく殴りつける。 「ぅッ!」 宮下は反動で飛ばされ、床に尻もちをつき、恐れるように久弥を見上げる。 満も久弥の行動には驚いたが、どこか安堵していた。 久弥がさらに一歩前へ出て宮下を睨むと、宮下はその目から逃げるように足早く図書館を出て行ってしまった。 久弥はしばし、逃げ出した宮下の余韻を見送り。そして、満の方に振り向く。 「……」 瞳が合い……満はどきっとしたが、なぜか身体が動かなかった。 こんな情けない姿を久弥に見られているのに、乱れた服を直そうにも、指先まで硬直したように動かない。 ただ今回は、相手を怪我させていない、酷い自分を見られていない。 それだけが、心の中にわずかにある光だった。

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