33 / 72
第33話
満は久弥が達したのを感じて…
安心感と脱力感がダブルで押し寄せてきて、ついに気を失ってしまったのだ…
久弥は…気を失った満に、優しく唇へキスを落とし…
髪を撫でる…
慈しみいたわるよう…
そして、ゆっくりと…満との繋がりを解く久弥…
秘部に柔らかい紙を充ててソコを拭いながら…。
「ん…っ」
数秒か数分か…ふと、意識を取り戻す満、瞬きをして久弥を見る。
久弥は安心して息をつく。
「大丈夫?辛かった?」
久弥は心配そうに満に聞いてみる。
「…ううん、大丈夫…。…ぁ」
頷いて答えながら、あることに気付く。
さっきまで久弥の背に腕をまわしていたのに…いつの間にか離れているし、何より、久弥が挿ってくるのは覚えているのに…出ていく瞬間を覚えていない。
「ヒサヤ…僕…」
満が聞こうとしたことが久弥には分かり、浅く頷く。
「うん…でも一瞬だけだから」
一瞬、少しの間だけ、気を失っていたと…。
「…ご、ごめんなさい」
少しの間でも失神するなんて…恥ずかしくて思わず顔を伏せて謝ってしまう満。
満も気を失うなどという経験が、今までに一度もなかったので、気付くことすら遅れたのだ。
「ミツル…、きっと俺が無理をさせたんだよ…、ごめん。もっと勉強してくる。ミツルもはじめてだったのに…情けない」
苦笑いを浮かべて言う久弥。
「…も?」
満は久弥の言った言葉の端が気になり聞き返す。
「…うん」
久弥は何も答えず頷く。
「…ヒサヤは、すごく…慣れている感じがしたけど…」
満が首をかしげながら聞くと、久弥は嫌な顔もせず微笑して答える。
「…全然。ミツルが、はじめてだよ…」
少し照れたようにいう久弥。
「…ヒサヤ」
満は驚きと嬉しさが半分ずつのような想いで名前を呟く。
あの、許婚の彼女とも交わっていないのなら…
自分が久弥のなかでも、最初のヒトであったなら…こんなに嬉しいことはないから。
「…実はさ、色々とシュミレートしてみたりしてたんだ。初めての時、失敗したくなかったから…ミツルにも負担がかからないようにって…」
「ヒサヤ…」
「でも…やはり考えてるようにうまくいかないものなんだよな、馬鹿だよな」
また苦笑いをする久弥。
「ううん…ありがとう」
軽く頭を振って、お礼をいう満。
もう一度久弥に抱きつく。
満は…久弥の熱のこもった身体に触れて、本当に久弥が自分だけの存在としてあってくれているのだ、と錯覚してしまいそうになる…。
それほど…今日のコトは、肉体的にも精神的にも久弥と強く結びついたような想いでいっぱいになった。
これから、まだ不安なこともたくさんあるけれど…立ち向かっていける勇気と絆が、今まで以上についた久弥と満だった…。
ともだちにシェアしよう!