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第46話
すると満の前に急に数人の見知らぬ男子生徒が現われ、ぶっきらぼうに言葉をかけてくる。
「おい、お前だよな?楠木ミツルって、俺たちは祥子さんに頼まれてここまで来たんだ、それと祥子さんから伝言。『ヒサヤはここには来ない、二度と会おうなど思わないこと、さもなくば、さらにひどい目にあわせる』だそうだ」
「……?」
まだ状況を把握しきれていなくて返す言葉に詰まる満。
そうこうしているうちに満はその男達に取り囲まれていた。
男子生徒は全部で六人、皆、満より背が高く身体つきもいい。
「こんなチビに六人もいるか?ふつー」
「見た目に騙されるなって祥子さんが言ってたぜ、かなり強いらしい」
満が答えられない間、後ろの二人がぼそぼそ話している。
「俺らの仕事はコイツを辱めたような写真を撮ることと、後は暴行しろって言われたけだ、さっさと成功させて報酬貰うぜ」
初めに声をかけてきた男が全員に言う。
「ッ…!」
それを聞いてようやく自分がおかれている状況が分かって、自分を取り囲んでいる奴らを警戒するように睨み見て…逃げる隙を探す満。
「……」
男子達は、互いに瞳を合わせ、襲いかかるタイミングをはかる。
お互い動けない時が過ぎ。
先に動いたのは男子生徒達――。
目で合図して一斉に満に飛びかかる。
「…っ」
満は囲まれているけれど、易々捕まりたくないので一人の男子に向かって素早く足払いをしかけ、その隙から逃げようとする。
「逃がすな!」
「捕まえろっ!」
逃げ出した満を全員が必死で追ってくる。
「……ヒサヤ」
満は恐ろしくなって、来ないと分かっているけれど、心の支えのそのヒトの名前を口走る。
「捕まえたァ…うぉ!」
男子の一人が満の腕を捕らえるが…それを身体をひねって払い除ける。
何度か捕まりそうになりながらも神社の降り階段が見えてくる。
「馬鹿野郎!止めろッ足狙え!」
焦ってリーダー格の男子が怒鳴る。
それに反応して追い付きそうだった男子がスライディングするように満の足をひっかける。
それでバランスを崩した満をもうひとりが押し倒して抑え付ける。
「ぅ!痛ッ……は、離してくださいっ」
逃げ出そうともがく満をさらに二人の男子生徒が抑え、両腕の自由を奪う。
「うぅ!」
さすがの満も体格差のある男子生徒三人に抑えつけられては逃げるすべはない。
「上手く写真撮れよ、お前はそっちで見張っていろ」
リーダー格の男子が残り二人に指示してサバイバルナイフを取り出しながら満に近付く。
そして、自由を奪われた満の服を刃先で襟元から切り裂く。
「っ……」
満は恐怖で身体を震わせる。
「おとなしくしていればすぐに終わるさ。だが抵抗してみろ、お前の顔に一生消えない傷が残ると思え」
ナイフで満の頬を薄く切り付けながら、脅してくる。
「……っなんで、写真なんか」
すぅ…と、傷口から赤い血が満の頬を伝う。
満はカメラのシャッターをきる音と光を見て何の為に?と聞いてしまう。
「祥子さんがお前だけが移っているモノが必要だと言ったからな」
さらに服をナナメに破っていく。
「……ッ?」
その行動に不快な表情を見せる満。
「……大学、同じだそうだな。祥子さんの彼氏と」
その言葉にピクと身体を反応させる満。
「……」
「こんな写真が、大学関係者に渡ったらどうなるか見物だな。それをエサに、祥子さんの父親が金と圧力かけりゃ、合格だって簡単にくつがえるぜ。相手が悪かったな」
面白がるように笑っていう男。
「……なッ!?」
満はそれを聞いてショックで表情がこわばってしまう。
満は今までの事だって、久弥との大学生活が希望としてあるから耐えてこられたし、祥子からのどんな仕打ちであれ我慢しなくてはいけないと思っていたのに。
このままでは……唯一の希望までも奪われてしまう。
久弥と、本当に逢えなくなってしまう。
「ぃ…いやだ。離せッ」
急に激しく暴れ出した満。
抑えている奴らは驚くが力を緩めず、満が動けないようにさらに強く拘束する。
六対一、どうみても満が不利。
「無駄だ、諦めろ!」
怒鳴りつけられる満だが、首を強く振り、なんとか逃げ出そうともがく。
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