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流れゆく日々 4
「いやー、ごっそさん」
別室から出てきたオヤジは『殿、ご満悦』という言葉がぴったりである。
は3時間を過ぎていた。
「ご満足頂けましたか」
オーナーとして、司が応じる。
「もォサイコーやね、静流は!めっちゃハードにやったってクタクタやのに次触り出したらもーイキまくり!」
「はぁ…」
苦笑いしながらも、自分までちょっと元気になりそうで焦る要。
静流一人が、部屋からまだ出て来ない。
「しずー…?」
探しに入った紫苑が見たのは、全裸のまま後ろ手に縛られ、目隠しもされたままで床に転がっている静流の姿だった。
「しず!!」
「紫苑…?」
声に反応し、懸命に自力で座ろうとする静流。
紫苑が慌てて助け起こす。
「しず、大丈夫か?!すぐ目隠しもとってやっからな…」
悔しさに歯軋りしながら手を縛る縄を解く。
両手が自由になるとまず静流は紫苑に抱きついた。
「今ここで…1回して」
「…いやだ。あいつと何回した?」
「…5回」
「じゃあ6回やる」
改めてよくよく静流の体を見まわす。
「こんな辛かったの、初めてだ…」
「何も言うな」
唇、首筋、太腿や手首、ありとあらゆる所に内出血、切り傷があった。
頬には涙の跡もある。
紫苑の方が泣きたくなってきた。
静流の胸に顔を埋める。
「なぁ――もう別サービスやめよ…俺もやめるから…頼むよしず、じゃないと俺、もう…」
「……そうだね……」
2人が部屋を出たのは2時間後。
「静流、悪かった…どうしてやることもできなくて…」
司が詫びるが、静流は笑って見せた。
「――仕事ですから」
俺だったら絶対やだ、とは口に出さず、司は黙って微笑んだ。
その日の帰り、二人は司に『別サービス』を辞めると告げ、司も承知した。
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