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流れゆく日々 26
静流が目を覚ますと、そこには見た事の無い景色が広がっていた。
「やっと目が覚めたのか」
ここがどこかもわからないのに、不意に声をかけられてビクッとする。
声の主は、財布を落としたあの男だ。
…何故か、裸の。
嫌な予感がして思わず後ずさりする静流に、男はにじり寄ってきた。
「大丈夫だ、何もしてねぇよ、まだ」
―――『ま・だ』?
「な、何なんだ、あんた…」
やっと言葉を発した静流。
男はさらに顔を近づけてくる。
「何もきくんじゃねぇよ、静流さん」
どうして名前を―――?!
静流はさらに体をこわばらせ、後ずさりした。
「ここまで来てイヤがることもねーだろ。お前好きなんだろ?こーゆーコト。いっぺんおとなしくヤられな」
静流は恐怖と屈辱に震えた。
どこの誰だか分からない人間が、自分のことを知っている。
しかも、この言いぐさは―――?
「ふざけるな!」
その辺にあった物を適当に掴んで男を殴りつけた。
男は本気を出して静流に向かってくる。
「おとなしくって言っただろ?!」
「離せ…っ」
ガリッ。
静流の爪が男の頬を抉った。
男は一旦静流から離れ、一息ついてこう言った。
「どうしてもおとなしくしねーなら、代わりに紫苑を同じ目に遭わそうか?」
紫苑の事まで知ってるなんて…何者なんだ、こいつ―――?!
静流は愕然として、肩を落とした。
「おとなしくする気になったのか?ん?」
(くそ…。しないわけには行かないじゃないか)
押し倒される。
どうしてこんな得体の知れないやつにこんな目に…
と心の中でぼやいていた静流は、次の瞬間はっとした。
上半身はそのまま一切手も触れずに、突然ズボンを下ろされ、男がのしかかってくる。
何もせず、いきなり、はじめる気か―――?!
「俺ってせっかちなんだ、悪く思うな。別にお前の事好きでもねーし」
そう言うやいなや、本当に突然、侵入が始まる。
激痛に静流の顔は歪み、体をくねらせる。
「い、痛っ…」
男はそんな静流を見て、ニヤリと笑う。
そして耳元でこう言うのだ。
「お前でも痛いのか?金さえ積まれりゃ誰にでも足を開く男娼さん。使いこんでる割にはよく締まってるぜ」
静流は痛さも忘れて、恥辱に顔を赤く染めた。
激痛からか悔しさからかわからない涙が込み上げる。
「今までこん中で何人の変態がヒーヒー言ってきたんだろうなぁ?」
こいつは何で、こんなことまで知ってるんだ―――
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