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流れゆく日々 35
「いいかげん離れてくださいよ」
不意に足を止め、高杉が言った。
あっきーは面食らった。
「え?邪魔者は邪魔者同士、これからどっかしけこむんじゃないんすか?」
「しけこまない!」
スッパリ切り捨てられてもめげずに続ける。
「どっか行きましょーよ、俺今日ヒマなんです。どこへでもついて行きますよ!」
「僕は仕事があるんです!」
いいかげん高杉のポーカーフェイスに、陰りが見え始めた。
「えー、じゃあ仕事場についていこうかなあ!俺もー高杉さんに一生ついていきますよっ!何でも言うことききますから!」
ついに高杉は頭を抱え込んだ。
「じゃあ早速きいてもらおう。一つ目は、静流くん達の仲をこじらすようなマネは一切しないこと」
あっきーには理解不可能だった。
何故?高杉は静流を想っているはず、紫苑と静流が別れたら好都合なんじゃ――?
「他人から奪ったところで、長続きはしないからだ」
見透かすように、高杉がご丁寧に解説してくれた。
そして言葉を続ける。
「そして二つ目。俺に付きまとうな」
言葉が終わらないうちに、あっきーの一人ブーイングの嵐。
親指を立てて下に向け、ぶーぶーぼやいている。
「それとも…もう一本の腕もへし折られたいか?」
ぶんぶん、と頭を横に振った後、あっきーはぶうと膨れた。
「なんですか、あいつの前じゃそんな言葉遣いしないのに…静流がほんとのあなたを知ったら…」
脅すつもりだったのだろうか、しかしあっさりと高杉はあっきーの言葉を切った。
「かまわないさ、僕は別に嘘をついてるわけじゃない。好きな人にはとことん尽くす、嫌いなヤツは徹底的に痛めつける、それが僕のやり方ですから。あなたもバカじゃなかったら自分が前者か後者かぐらいわかりますよね?」
言葉に似つかわしくない清々しい笑みを張り付かせて高杉が喋る。
「何しろあなたは僕の最愛の人をめちゃめちゃに乱暴した人ですからね。紫苑くんの知人じゃなければその程度では済みませんよ」
やっぱりチクりやがって、と内心舌打ちするあっきーだった。
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