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【パラレル】招かれざる客 1

別の話で吸血鬼について書いたので、この話を思い出しました。 ずいぶんと前に書いた、紫苑と静流のパラレル番外編です。 ハロウィンの時期でもあるので、このタイミングで発表します。 似非ファンタジー。ふんわりと暴力・流血描写あり。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  客、と一言で言うには余りにも不思議な男だった。 「いらっしゃいませ…」  会員の紹介の者しか入店できない規則だというのに、受付はすんなりとその男の侵入を許してしまった。  表向きは画廊、地下では売春も行う男性専用ホストクラブ。 そんな所に通うものは、皆どこかしらただならぬ雰囲気が漂っているものだが、この客は中でも一際目立っていた。 店内の薄暗い照明の中で、まるで蛍光塗料を塗ったかのように浮かび上がる、白すぎる肌。中世の絵画のような整いすぎた顔立ちは、見ているだけで生気を吸い取られそうになる。 そして、その容姿とは裏腹な、匂い。 ユニセックスな流行りの香水をまとってはいるが、明らかに男の全身から、何か分からないがとにかく『不快な』匂いが発せられていた。 男は席に案内されると、まず腰を下ろすやいなや、一通り店内を見まわし、 「静流さんを」 一言、指名した。

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