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からまわりの横恋慕

パシャ! カメラのシャッター音が鳴った。ちなみに二人は、ただ顔を近づけていただけである。 「スクープね」 意地悪そうに笑う水原を見て、二人は呆れながらうんざり。 「またてめーかよ」 「ほーほほほ!蒼城紫苑!!この写真をばら撒かれたくなかったら、今までの非礼を詫びわたくしに交際を申し込むがいい!!」 …言ってて恥ずかしくないのか。 「勝手にばら撒いてろ。アホくせ」 またもくるりと背を向け、歩き出す二人。 「逆にみんなにばら撒いてもらった方がヘンな女寄って来なくていーかもな!てめーみてーな」 「そうだね」 クスクス。静流のイヤミな笑いは天下一品。  翌朝も、懲りずに水原は登場した。この日は紫苑が1限目体育のため、一人で更衣室に向かう途中だった。 「紫苑クンおはよう!」 「……」 降りかえった紫苑は、すでに怒りに満ち満ちていた。 「ね、ね、ちょっと来て」 紫苑の手をとり、無理やり人気の無い建物の影に紫苑を連れこむ。そして次に出た行動といったら。 紫苑の胸に身を任せ、 「…抱いて…」 見ているほうが寒くなるような演出。 「あっアホか離れろ!」 なんとか無理やり水原を自分から引き離したが、紫苑はそのとき確かに、ヘンな気持ちになりかけていた。そんな自分にも言い聞かせるように、こう言い切った。 「てめぇなんかじゃなぁ、勃つモンも勃たねぇんだよ!」  「きゃああああ!」 突然、水原が狂ったような悲鳴を上げた。人が集まってくると、急に衣服を自ら乱し、 「この人が私を…!」 と泣き崩れる。紫苑はもう笑ってしまいそうだった。あまりにも水原がバカで。 「蒼城が…?」 「あいつホモだもん、そんなことしないよ」 「そんなことしなくたって、モテるし…」 分が悪くなる水原。 「それよりあんた、蒼城のこと追い回して付きまとってるヤツだろ?」 「狂言じゃねーの?」 だんだん不穏な空気になる。 「俺体育だから行くわ」 紫苑が他人事のように言い、去って行った。  「…ただの恥晒しに終わってしまったわ…」 水原のおつむのレベルが、少しアップしたようだ。 ――そうよ!なんとかをどうにかにはまず馬からって言うじゃない!

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