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第15話

「…。 20 分か」  男が教室の後ろにある壁かけ時計を見て、呟いた。 「ということで。最初にも言ったけど、この双子のように 10 分以上遅刻した者には、反省レポートを課します。僕は片岡教授より厳しいから、そのつもりで。そこの二人は授業後に僕のところへ来なさいね」  ニッコリと柔らかく笑いながらも、はっきりとした口調で男は告げた。前年度からほぼ同じメンバーのため、二人が遅刻魔であることを知っている学生達がクスクスと笑う。少しだけ居たたまれない気持ちになりつつ、いそいそと後ろの空いている席へ朔と明は座った。  授業が再開する。前の席に座る後藤が、ニヤニヤした顔で二人へ振り返った。 「びっくりしたろ?」 「うん」 「ほいっ」と言って、後藤の横に積まれたままのプリントを渡された。  プリントには授業名とスケジュール、そして、授業担当者の名前ーーー水無瀬渉(みなせ わたる)と書かれていた。

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