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第13話

 ある程度大きな大学なので、知らない職員がいるのは当たり前だったが、あんなに人当たりの良い職員がいたのかと、朔は軽く首を傾げた。その横に足早に近づいた明が立つ。 「誰?」 「…分かんない。多分、職員の人じゃないかな?」 「なんで話してたんだ?」 曖昧な答えに、明が訝しげに眉を寄せる。 「さっきぶつかっちゃって。そしたら、『同じ』だったから」 「吸血鬼なのか?」 「うん。それに、俺と『同じ』」 「え?双子ってことか?」 のんびりと近付いてきた後藤が、途中から会話に入った。こくりと朔が頷くと、スタイルの良い長身の後ろ姿を明と後藤が目で追った。 「…あんな奴、いたかなぁ?普通、『双子』は目立つんだけど」 後藤が首を傾げながら呟いた。  『双子』は大抵、ペアで行動している。すぐに食事ができるようにだ。そのため、学校や職場など、食事を要する時間がある場所には、『双子』一緒に入学・就職することが多かった。  顔の広い後藤も知らないとなると、互いにしか興味のない朔と明には全く分からない。 「あ…でも、なんか、新しい人かも。そんな感じで話してたし…」  先程までの話をうっすらと思い出して、至った答えを朔が告げた。 「ああ、なるほどな」 後藤が納得いったように頷く。答えが出たためか、ふいっと体を翻して、明が歩き出した。 「帰るぞ」 「あ、うん」 「えぇ!?今日、飲み行くっつったじゃん?」 当たり前のように付いていった朔と正反対に、後藤が素っ頓狂な声を上げながら二人の横に並んだ。

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