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3.好きなのかもしれない 6

なぜ気になるのかも。 なぜ構いたくなるのかも。 なぜ他の子の為に怒る柏木を見て苛々するのかも。 なぜこんなにもキスしたくなったのかも。 ……全てわかった。 気付くのが遅すぎたかもしれない。 気付かないうちから、僕はずっと柏木が好きだったんだ…───。 口内中を舐め回すと、次第に柏木の力が抜けていき微かに声が漏れる。 「……んっ」 その甘い吐息混じりの声はなんだかゾクゾクした。 そして、ゆっくりと唇を離すと互いの唾液が糸を引く。 柏木はやや呼吸が乱れ、赤い顔をしながら力が抜けたみたいにぐったりと壁にもたれ掛かった。 「キスだけでぐったりしちゃって、そんなに気持ちよかった?」 僕の声が届くと正気に戻った柏木は、また喧嘩腰で突っかかってくる。 「ふざけんじゃねぇよ。なんでキ、キ、キスなんか!」 焦った感じとか、やっぱりおもしろい。そして可愛い。 「ふざけてないけど」 「ふざけてるだろ。嫌がらせ以外に何があるんだよ。なんでだよ! なんで俺の初キスが男なんだよ!」 「初めてだったんだ?」 柏木は頭を抱えていたが、僕はキスが初めてだと聞いて少し嬉しいとか思ってる。 そっと顔を近付けると眉間にしわを寄せた柏木が、また噛みつくように向かってきた。 「う、う、うるせぇよ。お前に関係ねぇだろ! なんでキスしたんだ!?」 「好きだからに決まってるだろ」 「はぁ!?」 柏木はそう言うと更に機嫌が悪そうに眉をひそめた。 「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ。からかって面白いか?」 やっぱり冗談だと思っている柏木に軽くため息をついた。 まぁ、男に言われても最初から信じれる訳ないのは理解できるけど。 「本当だよ。さっき言ったじゃん。感情を掻き乱す相手とキスしたら好きかわかるかな? って。それで確信したんだから」」 「意味わかんねぇよ。お前、いっつも俺を目の敵にしてただろ? 嫌いなら納得できるが好きとか……ありえねぇだろ!」 叫ぶように言い放つ柏木の言葉が引っかかり首を傾げたくなった。確かに好きだと自覚したのはさっきだけど、嫌いだとなぜ納得できるのか。 「嫌い? 君はそんなことを思っていたのか?」 「それ以外にどう思えっていうんだよ」 …………なるほど。そういうことだったのか。

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