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3.好きなのかもしれない 10

暫くして幾ばくか体力が回復したのか、柏木がまた僕を噛みつくように睨みつけてくる。 「その睨んだ顔、そそる」 「ふざけんな。この変態ホモ野郎」 「気持ちよくイかせてやったのに、随分な言い草だな」 「なっ……」 どんな状態であれ射精したわけだから、気持ちよくない訳がない。 それは否定できないのか柏木も突然黙り込んでしまう。 そんな姿も可愛い。 すっかり柏木にはまってしまった様子の僕は、柏木の髪に手を伸ばしその髪を優しく撫でた。 「可愛いな。あんな女より僕にしなよ」 すると柏木は僕の手を振り払い、睨みながら喧嘩腰に怒鳴ってくる。 「男なんかありえねーよ。つか、可愛いとか気持ち悪い」 「試したこともないくせに」 「そんなこと試さなくてもわかる!」 そう言い切る柏木に悪戯したくなって顔を近づけて囁いてみた。 「一度比べてみたら? 女のと男のとどっちが良いか……。って童貞だから比較できる女がいないか」 そう言って、柏木の耳元でわざとらしく笑ってやる。 すると童貞と言われたのが恥ずかしかったのか、必死になって言い返してきた。 「うるせーよ! 誰が比べるかっ」 真っ赤になりながら言い返す柏木に目を細めていると、急にハッとした顔をした柏木は慌ててズボンを持ち上げながら立ち上がった。 そしてそのまま逃げるようにずり下がったズボンを履きながら階段を下りていくと、乱暴に玄関のドアが閉まる音だけが響いてくる。 僕の部屋からは全力で走っていく柏木の後ろ姿が見えたけど、そんなに慌てて帰らなくても今日はこれで許してあげようと思っていたとこだったのに。 随分、せっかちだな。 クスクス笑いながら、ふと床を見ると。 そこには自分のではないスマホが落ちていた。柏木のものだ。 慌てていたから落としたことにも気付かなかったんだろう。 柏木のスマホを拾い上げながら、さっき短時間でコロコロと変わっていった柏木の表情を思い出し、また笑ってはまた思い出す。 凄く和む。あんなに可愛いと思った人は初めてだった。 そして、もっと相手を自分色に染めたいと思ったのも……。 前に柏木が好きなのかもと思ったとき、妙にしっくり来た感じを思い出す。 やっぱり僕は柏木が好きだったんだ。 普通ならまず性別から気にするとは思うんだけど、それは意外とあっさり受け入れられた。 柏木となら…………うん、出来るな。 いや、出来るとか出来ないのレベルじゃない……。 それはそういった状況を想像した今、硬く勃ち上がった自身をみればよくわかる。 さて、勃ちあがったコレをどうするか……。 ───── ───

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