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第7章 動き出した、朝 1

次の日の朝。 ごそごそと何かが動く気配で目が覚めた。 心地いい温もりを感じながら目を開けると、その正体はやっぱり千秋だった。 少し先に起きたみたいだけど、なんだか寝ぼけ眼の千秋は僕と目が合うなり目を丸くする。 「おはよう」 「…………」 すると千秋はまたベッドに黙り込んでしまったので、クスリと笑いながらベッドから起き上がった。 床には昨日の出来事が夢ではないと言わんばかりに脱ぎ散らかした服が散乱していて、何故だかホッとしている自分がいた。 そして昨日のことを思い出しながら散らばった服を集めると、クローゼットから自分のTシャツとズボンを出して千秋に向かって投げる。 「それ着ていいよ」 「おう……」 そっぽを向いたまま返事をした千秋を見ながら僕もクローゼットから出したTシャツとスウェットをはいて部屋を出て行った。 さて、朝ご飯は何にしようか。 卵もあるし、目玉焼き? スクランブルエッグ? だし巻き卵? 洋食にするか和食にするか。 何を食べさせてあげよう。 あ、そう言えばマフィンと一緒に作ったクロワッサンを冷凍してあったんだっけ。 あれを温めてあげようか。 だったらスクランブルエッグとサラダ……あと、コーヒーで足りるかな。 千秋が食べる朝食と思うと、準備するのも何だか楽しく感じてしまい鼻歌なんか歌ったりしていて自分のことながら笑ってしまいそうになる。 僕は今、誰が見ても上機嫌だろう。 そして、朝食の準備が整ったので部屋に戻ったら……なぜか千秋が四つん這いになってもがいていた。 「朝ごはんできた……って何やってんの?」 「何って、ケツが痛くて着替えられねぇんだよ!!」 相変わらずの喧嘩腰の千秋に目を細めながら近くに寄っていく。 まぁ、昨日は初めてだったわけだしね……。 僕も加減したつもりだったんだけど、やっぱり体が辛いのかな。 「そう言って着替えさせてほしいんだ? 甘えただな」 わざと茶化すように言うと千秋は案の定、怒った顔をして僕を睨みつけた。 そんな睨んでも可愛いだけだけど。 「ち、ちげーよ。その腐った頭のものさしで、いいように解釈するな!」 そうは言っても着替えさせたくなったから千秋の世話を焼いていると、甘やかされることに慣れないのか千秋は顔を紅くして俯いたままで、着替え終わると千秋はよほど恥ずかしかったのか、ぐらつきながら立ち上がって「飯だろ!? 飯!」ってギクシャクしながら階段を降りていった。

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