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10.切なくなるほど可愛い人 6
……暖かい。やっと一つになれた。
なんか感動してしまってぎゅっと抱きしめると繋がった部分から千秋の鼓動が伝わってくる。
ドクッドクッと脈打つのがわかって、それが自分のと重なって幸福感でいっぱいになれば自然と笑みがこぼれた。
そしてもう一度、絡み合ってぐちゃぐちゃになるような激しいキスを何度も何度も角度を変えながらして、キスを終えたら千秋が柔らかく微笑んだ気がした。
「……し、新……ど……っ」
「ん?」
千秋が僕のことを呼ぶだけで、僕の心は千秋で満たされる。
千秋も同じように僕で満たされていたらいいのに。
そんなことを考えながら、凄く幸せでもう少しだけこのまま千秋を抱き締めながらキスしたいって思っていた時だ。
千秋が僕のことをじっと見ていて、その目はとても潤んでいて、瞬きしたら溢れてしまいそうなくらいきらきらして見えた。
そんな目で僕の名前を呼び掛けて黙った千秋が僕の顔にゆっくりと手を伸ばす。
その手が頬に触れた時……、絞り出すように小さく響いたその声に僕は心を撃ち抜かれた。
「…………しゅ、……修平。…………好、き……」
多分、僕はこの瞬間を一生忘れないと思う。
一瞬にして目頭が熱くなり、同時に胸までも熱くなっていく。時間が止まった気さえした。
思わず泣いてしまいそうになるなんて。こんなことあるのかって思った。
今まで悔しくて泣いたことはあったけど、それも小さい頃の話だ。
最近は泣いたことなんてない。ましてや嬉しくて泣きそうになることがあるなんて、そんなの空想の中だけだと思っていた。
新しく自分に渦巻く感情により視界が滲み、千秋が霞む前に涙を悟られないように顔を近付けてキスで封じてしまう。
「そんな可愛いこと言うなよ」
そして愛しさで止められなくなった僕は深く深く千秋の奥をめがけて腰を打ち付けた。
もっと深く繋がりたい。
「はぅ……あ、……あッ……」
奥を突くたびに千秋がひくひくと体を仰け反らせながら声を漏らすので更に煽られる。
体を揺さぶるたびに千秋が絞り出すように僕の名前を呼びながら喘ぎ、僕の背中に腕を回すから、愛おしすぎでまた泣けてきた。
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