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1.その笑顔には裏がある 6
言い寄ってきた中にはこんな風に積極的に迫ってきた子とかもいたので、そんな時は自分の中のルールに従って、なんとなく付き合うと言うよりは言い寄ってきた女と何度か寝た。
・同じ学校やコミュニティーに属さない人であること。
・思わせぶりな態度は取らない。
・去るものは追わない。
これが自分の中のルール。ルールといっても正直、2つ目と3つ目のルールはさほど意識したことはなかった。僕は冷たい人間だから、僕のそんな態度を目にして大概は向こうが白旗を揚げるんだ。
ホテルの近くまで来たら待っていたかのように電話が鳴り、近くのカフェから女が手を振りながら出てきた。
そして、腕を絡まされるのをなんとかあしらいながらホテルへと入っていく───…。
それからは、いつもと同じ。
大袈裟にも思える喘ぎ声をあげて自分の下で腰をくねらせる女をみて、何故だかため息が出た。
セックスは嫌いじゃない。
自分でやるよりも吐き出す瞬間は気持ちいいし、年頃だから興味もある。
最初はもう少し興味も意欲も情熱もあった気もするのに、次第に寝たと言っても僕の中の位置付けでは自慰と何ら変わらなくなった。
それが自分の手なのか、他人の中なのか、それだけの違いって言ってしまえば相手の子に悪い気もするけど、なんとなく溜まったからぬく。排泄的な作業。
それを自分でやらずに他人で……って言う僕はやっぱり最低な人間だと思う。
自分が良ければそれでいいってことなのだから。
いつものように適当に前戯を終え自分で避妊具をつけようとすれば、それを女に奪い取られてしまった。
「今日はアタシがつけてあげるー! なんならフェラしながらつけたげようか? 修平にフェラしてあげたことないし」
甲高い声に、思わず眉をひそめた。
興醒めするからやめて欲しい。
なんだか楽しそうにしてるけれど他人に必要以上に触られたくない僕は、また静かに避妊具を奪い返して、自分で自身につけながら冷たく言い放つ。
「触んないでくれる?」
その瞬間、彼女の表情が僅かに強張った。
「……フェラ嫌いなの?」
「うん。嫌い」
本当は前戯で触るのもあまり好きではないのに、他人に必要以上に触られるなんて虫唾が走る。
快感はわかるけど、どうも舐められるという行為自体が気持ちが悪いし、ましてや舐めるなんて論外だった。
本当に僕は自分勝手だなぁと思いながら冷たい眼差しのまま女を見下ろした。
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