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1.その笑顔には裏がある 7
みんなどうしてこんな行為が好きなのか、僕は理解できない。
粘膜の感触もさることながら相手から一方的に快感を与えられるようなのも気に入らないし、相手本意に快感を押し売りされているようで鬱陶しい。なんか、委ねているみたいで嫌だ。
所詮僕は自分が気持ちよくヌケたらそれでいいわけだから、相手がどう思おうと知ったことではない。
僕にとってこのセックスが自慰と変わらない理由はそれなんだ。
いつから僕は排泄的なセックスをするようになってしまったのだろう?
溜まったものを抜くだけなら本当に自慰でもいいくせに、わざわざ人肌を選ぶのはやはり人と触れ合うことで満たされたい気持ちがどこかにあるからだろうか?
そもそも僕にそんな気持ちが存在するのか?
他人を信用しない僕が誰かを好きになったりするのだろうか?
……でもまぁ、少なくとも目の前にいる彼女ではないことは確かだろう。
つくづく僕は最低な人間だと思いながら女の脚を引き寄せる。
さっきのやり取りで顔を強張らせていた彼女だが、倒して無言で自身を中にねじ込むとまた大袈裟に聞こえる声を上げた。
こんな関係も一夜限りってのもあれば、少し長く会ってみたりすることもある。
でも、続いてもせいぜい二週間ってとこだった。
それ以上は続かない。
飽きると言うより“冷える”んだ。体の芯から。
暫くしてもう吐き出してしまおうと更に腰を激しく打ち付けると、下からは悲鳴にも似た喘ぎ声があがった。
そして僕は奥へめがけて突き上げる。
吐き出す瞬間はさすがに気持ちいいけど、現実に引き戻されたときになんとなく虚しさだけが残るのが嫌だった。
あ、僕は何をしてるんだろう? みたいな。
急に頭が冴えて冷めていく感じ。
そんな妙にクリアな思考が心に穴を空けていく。
そして風が通る度にひやっとして、そこから急激に熱を奪っていくんだ。
「修平、すごすぎ……どこでそんなの覚えてくるの?」
「さぁ」
女は終わった後によく喋る。
凄かっただの良かっただの、別にあんたの評価なんて聞く気もないのに勝手に喋ってくる。
それを聞く度により体の芯から冷えていく気がした。
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