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2.少し馬鹿な天邪鬼 3

でもそんな姿がなんか面白くて、それからもまた些細なことでも指摘したくなってしまう。 それはなんとなく新しい玩具を見つけたような感覚に近かったかもしれない。 とにかく柏木は他の奴らと違って変な奴なんだ。 天の邪鬼で決まって言うことと逆のことをやってのける。 それくらい他人の言うことを聞くのが嫌らしい。 ネクタイが曲がってると言えばさらに曲げるし。 袖のボタンが取れかけてると教えれば引きちぎる。 でも僕にはその柏木の行動全てがなんだが面白くて、ついつい構いたくなってしまっていた。 その度に柏木は心底嫌そうな顔をしたが、気持ち悪い上辺だけの笑顔で近づいてくる奴らよりよっぽど人間らしくて良いと思った。 単にそんな柏木が珍しいと思ったからだろう。 その時の僕にはそれ以上の気持ちなんてなかったはずなんだ。 でも何か言う度にことごとく逆の行動を起こす柏木を見るのが楽しくなってきて。 今日はどんな反応をするだろう? どう切り返してくるのか? いつの間にかそんな日常が日課になり、僕自身も柏木に何かと指摘するのが楽しみになっていた。 そんな風に些細なことで柏木をいじる毎日。 ある日、柏木に「髪が長いんじゃない?」と言ってみた。 うちの高校は髪型に関してそんなに厳しい校則はないけれど、ただ全てを逆にする天邪鬼な柏木がどんな反応するのか見てみたくて言ってみることにした。 髪が長いと言われたら普通は髪を短くするだろう。 だが、全てを逆にしなければ気が済まない天邪鬼の柏木の理論で言えば、髪を伸ばさなければいけないのが道理だ。 でもさすがに髪はすぐに伸ばせないだろ。 柏木は何て返してくるだろうか? お世辞にも頭が良さそうには見えないから、単純な方法を選択するか? カツラを被るとかさ。それか、上手く返せずに大きな声を上げるだけかもしれない。吠えるだけの柏木も悪くない。 だから、面白くなりそうだと思った。 柏木はどう行動するのか、何と言って悪態をつくのか。 そしてまた心底嫌そうな顔をして僕のことを睨みつける顔が見てみたくなったんだ。

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