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第58話

 テーブルには須藤の作った卵丼やほうれん草のお吸い物、あと僕のためにか唐揚げやサラダまでもあった。  「千紘君、できたよ。食べよう。」  須藤に呼ばれてダイニングテーブルについた。  「美味しそう。」  千紘はふんわりと微笑みながら湯気のあがる卵丼をそっと口に入れた。須藤はいつも簡単なものしかできないというが洋食も和食も満遍なく色々な料理を振る舞ってくれる。その落ち着いた優しい味はいつも千紘をほんわかとした気分にさせる。千紘は須藤の料理を食べるのが好きだった。  「千紘君、たくさん食べてね。」  須藤は千紘がゆっくり食べるのをいつも嬉しそうに見ている。そんな須藤を見ながら千紘も料理を味わう。千紘は須藤とのこのような関係がとても心地よく感じていた。いつまでこの関係が続くのかそんなことを心の片隅で考えながら……  「食べ終わったら熱いお茶でも淹れるからソファで待ってて。外、暑いから冷たいもののほうがいい?」 須藤はお茶のグラスをテーブルに置き千紘の横に座るとそっと千紘を抱きしめた。なんだか一週間前に会ったばかりなのにずいぶん長い間会ってないような気がする。千紘の首元に顔をうずめてそっと囁いた。  「千紘君、いいかな。抱きたい。」  そう言って須藤はそっと千紘を抱き上げた。

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