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第59話
須藤は千紘をそっとベッドにおろした。そして、千紘の上に覆いかぶさって前髪を梳いておでこにそっと口づけた。須藤はゆっくりと千紘のシャツのボタンを上から外していく。服がはだけてのぞいた白い体に薄く浮かぶ赤い痕をみつけた。須藤はそっとその痕をなぞってシャツを全部脱がせていく。そしていきなり千紘の体をうつ伏せにして腰のあたりを押さえつけた。
「え……?なに?須藤さん……?」
「ねえ、千紘くん。誰か僕以外の人とセックスした?」
振り返って須藤の顔を見ると少し怒ったような悲しそうな顔が見えた。
「あ、えっと……。」
千紘はすぐには答えられずどうしてわかったんだろうと考えていた。千紘が固まったまま動けないでいると須藤は千紘の腰のあたりに跨った。
「こことここと……、脇腹のあたりとか……、うっすらとだけどキスマークだよね、これ……。どうして?」
須藤はそう言いながら薄く残った赤い痕を指先でなぞっていく。
「ごめんなさい……、先週、発情期で我慢できなくて……」
「やっぱり千紘君はオメガだったんだね。なんとなく甘い香りがしている気がしたんだよね。でも、僕、前に言ったよね。他の人に体を触らせるなって。」
「ごめんなさい。」
千紘はもう一度謝って枕に顔をうずめてしまった。僕はどうすればよかったんだろう?このまま須藤とは終わりになるんだろうか?あれこれ頭の中で考えていると須藤が千紘の腰を持ち上げた。
「僕はこれでも千紘君のこと本当に好きなんだ。だから今回は本当に怒ってるんだよ。」
千紘はびくりと体を震わせて振り返ってみると須藤の顔を見るとそこには悲しそうな須藤の顔が見えた。
「だから千紘君とは別れる気はないけど怒っているから千紘君にはお仕置きするよ。もう、僕以外の人とは寝ないってちゃんと約束してくれるまで。」
そう言いながら千紘の体を仰向けにして再び跨った。
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