62 / 66

第62話

 千紘は朝食を食べて帰る準備をしているとそれを見ていた須藤が千紘のそばまできて千紘の腕をとった。  「来週末はどうする?どこか行きたい所があれば連れて行ってあげるよ。」  須藤は目を細めて笑いながら千紘の顔を覗き込むように言ってきた。  「行きたいところ……」  千紘は少し考えて、  「それじゃあ、水族館に行きたいです。」  そう千紘が答えると須藤は安心して嬉しそうに笑い腕を離してくれた。千紘はそんな須藤を自分も心が温かくなるのを感じた。  その後、着替えて用意ができた千紘を須藤は車で寮のそばまで送ってくれた。軽く手を振ると須藤は車を発進させて帰って行った。千紘はそのまま寮の部屋へとまっすぐ歩いて行った。 それを寮の窓から神津が見ていたことに千紘は気が付かなかった。

ともだちにシェアしよう!