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第12話

 部屋に戻って今日は帰ってきてからできていなかった宿題を先に終わらせることにした。幸い今日の宿題は少なかったので夕食の時間までに終えることができた。  夕食の時間になり珍しく先に食堂に来ていた隆也の隣の席へとトレーを運び腰かけた。  「今日は早かったんだね。」  「あー、腹減ったから少し早めにきてん。」  そう言いながらも隆也はどんどん食べていて生姜焼きの半分がもうすでになくなっている。千紘も同じ生姜焼きの定食を食べ始めながら隣にいる隆也に話しかけた。  「今日、会った稲葉先輩と一緒にいた人って知ってる?」  「ん?神津先輩か?千紘あの人知らないの?おまえ人のこと知らなさすぎ。あんな有名人知らないなんて学校でまわりなんも見てないだろ。」  隆也は笑いながらコップをとりお茶をごくりと飲んだ。あの人、確かアメフトの主将でどっかの社長の息子なんだぜ。いいとこのボンボン。おまけに勉強もできる。そんなことをぺらぺらと話しながらも隆也はどんどんとたいらげていく。  「千紘もその人にあんまり興味もたないのなおせよー?」  そう言いながらも次々に神津の情報をしゃべり続ける隆也はいったいどこでそんなことを聞いてくるのだろう?僕と違って社交的だからかな。僕のほうはといえば隆也が唯一の友達のようなものだけど……  そんな人でも僕に興味もったのかな?ってか、男が初めてでそれに興味があったとか? と、ぐるぐると頭の中で考えながら連絡がきたら断ろうかどうしようかと悩みはじめた。

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