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第13話

 僕のスマホには2週間分の夜の予定が記録されている。その日誰か一緒にいてくれる人がいるだけで安心する。一人きりの夜は好きじゃない。きっとあとくされなくできる奴で見かけが良ければオッケーなだと思われていることだろう。  千紘はスマホを見ながらぼんやりとこの前の名刺をくれた男の人のことを考えていた。いつもは同級生や同じ高校の子とばかり寝ている。あの人少しかっこよかったな、と思いながら机の引き出しに入れておいた名刺をだしてみた。一度、連絡してみて会ってみようかな。町にはオメガをだまして売り物にしたり自分の番にしようと狙っている奴もいると聞く。少し危ないかと思ったがいつの間にか千紘はその名刺の番号をタップしていた。  「もしもし……」  「はい、須藤です。どちら様?」  「あの……」    なんて言えばいいんだろう。なんか勢いで電話してしまったけどこれって誘ってるってことかなあ?  「あ、この前の男の子でしょう。本屋さんの前で会った。嬉しいなあ。連絡くれるなんて。そうだ、いつ会えるかなあ。」  「今日の夕方、6時までなら。授業が2時過ぎに終わるので。」  「あ、やっぱり、高校生だよね。どうかなと思ったんだ。迎えにいこうか?」  「いいです。電車でいけます。」  「じゃあ、この前の本屋の前で3時ごろでいいかな?」  「はい。」  「じゃあ、絶対きてね。」

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