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第22話

 千紘は目が覚めてふと目の前をみるとそこにはまだ、ぐっすりと眠っている神津の横顔が見えた。昨日の夜は気が付かなかったがくっきりとした眉に切れ長の目鼻筋もとおっていてとても端正な顔だちだ。起きているときは意思が強くプライドの高そうな瞳が印象的だった。千紘はトイレにいこうと起き上がってベッドから降りようとするといきなり腰を後ろに引かれた。  「どこに行くんだ?」  「トイレ貸してください。」  なんだか体の熱がこもったままだ。抑制剤は飲んでいるがいつもよりききが悪いみたいだ。とりあえず顔のほてりをさまそうとトイレに行き洗面所で顔を洗った。こんなこと今まではなかった。薬のききがよくて発情期もなんとかやりすごしてきたのに……どうやら神津先輩は僕が発情期中なのに気が付いているみたいだった。早く部屋に帰って追加で薬を飲みたい。けど、追加で飲んで大丈夫なんだろうか?でも、このままだとほかの人にも発情期中だと気づかれるかもしれない。千紘はリビングに部屋に戻り服を着ると部屋に帰るために準備した。  「もう、帰るのか?大丈夫か?」  「大丈夫です。」    千紘は少しほてって赤い顔をしながらうつむいた。  「発情期だろう?一人で出歩いて大丈夫なのか?部屋まで送ろうか?」  「大丈夫です。一人で帰れます。」 千紘は神津から逃げるようにドアを開けて小走りで自分の部屋に急いだ。

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