25 / 66

第25話

 なんだか抱きしめられているだけで頭のなかがトロトロに溶けてくる…… 千紘は腕をはずそうと押し返したがよりいっそう力を込められて腕から抜け出せない。だんだん体の芯も熱くなってきて後ろも疼きだす。千紘はこの抑えられない衝動に怖くなってきてなんとか逃れようとしたがかなわずベッドの上に押し倒されていた。  「高梨の傍にくると自分が抑えられなくなる。こんなこと今までなかったのに……」 千紘が神津の顔を見上げると薄く開いた唇からとがった牙が見えた……  もしかして噛もうとしてる?千紘は急に体がこわばって震えだしていた。発情期中のお互いのフェロモンでどろどろになってしまいいつの間にか番になってしまうことはよくあることだ……今も千紘の体はどんどん熱が上がってきて体は神津を求めている。自分が自分の体を制御できなくなる恐怖に千紘は抗いたくても逃れられない体の疼きと戦っていた。  「だめ、噛まないで……」  千紘は声を振り絞って言った。このまま体を交えても項を噛まれるのだけは避けたかった。  「自分を好きでない奴を噛む気はない。」  神津はそう言いながらも目の色は獰猛な獣のようで千紘を怯えさすには十分だった。

ともだちにシェアしよう!