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第30話
「まあ、いい。とりあえず誰も部屋に連れ込むなよ。」
そう言って神津は立ち上がって部屋から出て行った。
千紘はどさりとベッドに座り寝転がった。
「なんなんだよ。あいつ。」
千紘は静かになった室内でイライラとしながら今夜のことを考えると憂鬱だった。いつも夜はなかなか眠れない。今回は発情期が短かったがいつもは1週間ほど続く。まだ、発情期が始まって数年しかたっていないからか期間も周期もいまいち安定していない。今はほとんど症状が感じられないということは今回はもう終わったと思っていいだろうか。幸い、薬が体にあったのかよく効いていて周りからは発情期だと気づかれないほどに抑えることができる。発情期が始まった頃は合う薬を模索してやっと体にあった薬を見つけることができた。神津先輩には気をつけないと……
今日はいろいろありすぎた疲れた体をベッドに横たえるとすぐに眠りに落ちた。いつもなら夜は不安でなかなか眠れなかったのに。
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