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第33話

 スマホを手に部屋に戻ると授業を受けるための教科書などを鞄につめる。今日の予定は3年生の人だった。男子校にはよくあることなのか興味をもってコンタクトしてくる奴はぼちぼちいる。口コミで水面下で噂になっているからか表だって言われることがないので普通の女の子が好きな奴らはたぶん何も知らない。もちろん、隆也にも知られていないと思う。  念のため連絡してみようかな。でも、わざわざこっちから確認したらいかにも待ってるみたいだよな……そう、思い連絡するのは思いとどまりこなけりゃそれでいいかと思い教室に向かうことにした。  一時間目から古文の授業で眠い目を擦りながら日差しの降りそそぐ校庭をみた。するとそこには3年生が体育の授業をしていた。よく見ると神津先輩や稲葉先輩もいるクラスだ。今日は短距離走のタイムを計っているらしく順番に並んで走っている。神津先輩の番がきて走っている。さすがアルファの彼は断トツで早かった。この学校はアルファもオメガもベータもわけ隔てなく受け入れている。望んでテストに受かればここで勉学に励むことができる。なぜ、彼はアルファ専用の学校に行かなかったのだろうか? 一日の授業を終えると部活をしていない千紘はまっすぐ寮に帰った。戻ると宿題をして軽く復習もする。食事をして夜はだいたい誰かが一緒に眠る。人のぬくもりを感じていたい。一人きりの寂しさはもう、たくさんだった。人が去っていく寂しさを二度と味わいたくなかった。大事な人がいなくなる寂しさを感じるくらいなら一人きりでいい。そのとき、その時、一緒に夜を過ごしてくれる人がいればよかった。

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