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第35話

 神津が何をみんなに言ったのかはわからないが僕の周りはぴたっと静かになった。夜の誘いもなく友人もいなくて一人淡々と授業を受け過ごしていた。そんな中、隆也だけはいつもどおり一緒にいてくれた。それでも隆也は部活もしているので会うのは朝食の少しの時間と授業の合間の休み時間のみ。日中、ほとんどしゃべることもなくなりだんだんとまた、殻に閉じこもるかのように一人きりになっていった。  そして週末になり千紘は部屋にいてもしょうがないので外出届をだし町をぶらぶらすることにした。一人、ショッピングモールへと行き本屋さんをのぞいたり雑貨屋さんに立ち寄ったりした。そろそろ疲れたし休憩しようとコーヒーショップに入ろうとした時、後ろから呼び止められた。  「千紘くん、だよね。久しぶり。元気にしてた?」  そう言って歩いてきたのは須藤だった。  「千紘君、コーヒー飲むの?僕も一緒していい?」  須藤はそう言いながら僕の横に立ち並んでいる列に加わった。ぼんやりと横に立った須藤さんの横顔を眺めながら長い睫毛とくっきりとおった鼻筋に見とれていた。  「千紘君、見すぎ。照れるでしょ。」  そう言って笑いながら僕ってかっこいいかなあなんてつぶやいていた。きっと僕よりだいぶ年上なのにそんな子供っぽい一面を見ながら少し須藤に対する印象が良くなった。  そして僕はソイラテを須藤さんはアメリカンを頼んで二人で席に座った。

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