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第38話
「千紘君、お待たせ。」
須藤は濡れた髪をタオルで拭きながら千紘の隣に腰かけた。白い肌は透き通っていてそこに濡れた黒髪がとても色っぽくてまたまた見惚れてしまった。なんだかいつもはやって終わってぐったりしてそのまま眠るって感じで相手のことをあまりよく見ていなかった。でも、須藤さんは少しだけ気になる。大人の男ってやつかな?落ち着きがあってがっついてなくてそして色っぽい。あまり人に興味のない千紘でも少し気になるくらいに。
「須藤さん、少し聞いてもいいですか?僕、須藤さんのこと何も知らないから。」
「いいよ。何が知りたいの?」
「年とかお仕事は何してるのかな?とかあと、結婚してますか?」
「あははっ!僕、ゲイなんだ。千紘君とこんなことしてるからわかってると思ってたけど。だから結婚してないよ。っていうか、できない。僕は女は抱けない。年は28歳。千紘君にしたらもう、おじさんだよね。こんなおじさんの相手は嫌?」
「嫌じゃないです。大人の男の人って感じです。お仕事は何してるんですか?」
「普通のサラリーマンだよ。営業だからたまにこうしてサボってることもあるけどね。いつもは真面目に働いているよ。」
笑いながら須藤さんは僕をじっと見つめていた。
「千紘君は高校生だよね。僕が声かけといて言うのもなんだけど町で声掛けられた人に着いていってうりとかしてる?」
「してないです。須藤さんが初めてです。それにお小遣いもらえるなんて思わなかったし。」
千紘は前にもらったお金をどうすればいいのかわからずに引き出しに入れたままにしていることを話した。
「あれはなんていうか大人の逃げ道だよね。ごめんね。僕としては高校生を相手にした時点でだめだからちょっと逃げ道をつくっちゃったんだ。」
そう言いながら千紘はセフレがいるのはうりじゃないよな。なんてのんきに考えていた。
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