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第43話

 土曜日、千紘は食堂で朝ごはんを食べると部屋に戻り外出の準備をしていた。そこへドアをノックする音が聞こえドアまで行くと隆也が立っていた。  「あれ?千紘どこか出掛けるの?」  「うん、今日は友達の所に泊まりで遊びに行くんだ。」  「そうなんだ。久々に部活休みだから一緒に遊びに行かないかなと思ったけど、遅かったね。今度、また、遊ぼう。」  そう言って隆也はひらひらと手を振りながら自分の部屋の方向へと歩いていった。 部屋の中に戻り小さな鞄に着替えと財布、スマホを入れる。あと、抑制剤を少し多めに。幸い、まだ、発情期の症状はでてきていないが時期的にはそろそろだ。街中で発情して知らないやつにやられるなんてまっぴらだし。まあ、この抑制剤があれば大丈夫だろう。  千紘は鞄を持って部屋をでた。寮の門をくぐり待ち合わせの駅前へと向かう。なんだかデートみたいだな。なんて考えていると前から須藤さんが歩いてきた。そういや、まだ、須藤さんのしたの名前聞いてないや。近くまでくると目じりを下げていつものように柔らかく笑いかけてくる。  「千紘君、お待たせ。今、来たところかな?」  「はい。」  「そこのパーキングに車止めてあるから車で買い物してうちに行こう。」  そう言って須藤さんは僕の隣を歩きだした。

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