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13 異変
その時だった。
ふと燃料の残量を示す計器を見た隼人は、目を見張った。
「え…どうして…」
燃料の残量は、目的地点までの必要量の三分の一にも満たなかった。
もしかして燃料漏れかと思って確かめたが、異常はない。
つまり、もとからタンクに入っている量が大幅に少なかったということだ。
おかしい。整備班が何重にも確認の上整備したはずだし、自分でも今朝この目で確認していた。
きちんと補給されていたはずだし、漏れてもいない。
ということは、つまり。
「…燃料が、抜かれた…?」
信じられないが、それしか考えられない。
誰が、なんのために、そんなことを。
分からないが、とにかく、このままでは敵地まで辿り着くことなど到底不可能だ。
慌てて無線に向かって現状を報告する。
すると、先頭を行く隊長から、『仕方がない、引き返せ』と返答が来た。
その瞬間、頭が真っ白になる。
嫌だ。俺だけ引き返すなんて…。
死を覚悟して、この仲間達と往くのだと心に決めていたのに、自分だけが一緒に行けないなんて、絶対に嫌だった。
それに、死にに行ったというのに、のこのこ戻るなんて、生き恥この上ない。どの面下げてそんなことができるのか。
「…嫌です、俺も行きます」
『無理だろう、諦めろ』
「ですが、しかし…」
『また機会があるはずだ。次に出撃命令が出た時に万全の態勢で行けばいい』
隊長はあっさりとそう言うが、隼人はどうしても納得できない。
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