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9 眩暈
栄司はそれ以上何も言わず、噛みつくように隼人に口づけた。一気に体温が上がり、頭が熱に支配される。
栄司が隼人の首筋を舐めあげながら、右手で隼人のいちばん奥に触れた。入り口を軽く触れられただけで目が眩みそうになる。
「…痛かったら言ってくれ」
「ああ…」
栄司が取り出した傷薬の軟膏を丹念にすりこまれ、そこがひくひくと痙攣するのを自覚した。恥ずかしくて、早くどうにかして欲しくて、全身ですがりつく。
次の瞬間、骨っぽい長い指に内部を犯された。息を詰まらせ、さらにしがみつく。
初めはゆっくりと、徐々に速度を早めて、何度も何度も出し入れされる。しばらくすると指が二本に、そして三本に、気が遠くなるほど長い時間をかけて、誰にも、自分にさえも触れられたことのない秘密の場所を拡げられていった。
その間に、耳許で繰り返される栄司の呼吸が少しずつ早く、浅くなっていく。その欲望にかすれた息が耳朶をくすぐるたびに、隼人の中の炎がどんどん大きくなっていく。
脈打つ下半身の焦燥に耐えきれず、栄司のそれに手を伸ばして握りこみ、
「も…早く…っ」
はしたなく懇願した。栄司がゆっくりと身を起こし、隼人をのぞきこんだ。ゆっくりと指が抜かれていく。
その時だった。栄司の中指が、隼人の奥のある場所をごりっと擦る。瞬間、隼人は声にならない声をあげた。思わず閉じた瞼裏に星が散ったような気がした。
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