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10 空の果て

衝撃が去って薄目を開けると、彼が目を見開いて隼人を見つめていた。頬が赤らむのを感じる。 「…可愛い」 洩れるような呟きに、さらに顔が熱くなる。そんなことを言われたのは初めてだった。やめろよ、と言おうとした瞬間、息も詰まるほど強く抱きしめられた。 「もう駄目だ、我慢できない…いいか?」 その言葉が意味することを悟り、動悸が高まるのを感じながら小さく頷いた。 両膝をゆっくりと割り開かれ、間に栄司の体が入ってくる。どくどくと激しい動悸の音が耳の中でこだましていた。歓喜の予感に、胸の奥が引き絞られたように痛む。 熱く張り詰めたものが、期待に震えるそこに押し当てられた。その質量に眩暈を覚える。 そこまできて少し躊躇うようなそぶりを見せた栄司の肩をつかんでぐっと引き寄せ、その背中に腕を回した。その拍子に、彼の先端がぐっと入ってきた。 「ああ…っ」 思わず声があがる。生理的な涙が滲んで、視界が潤んだ。慌てて引き抜こうとした栄司を必死に引き留め、 「…大丈夫…そのまま…」 と囁きかけた。栄司が頷き、ゆっくりと動き始める。少しずつ奥へ。初めほどの痛みと衝撃はなく、むしろ自分の中が栄司を誘い込むように蠢いているのを感じた。 痛みは薄れ、気持ちよさが増していく。さっき栄司の指が刺激したそこに栄司自身が到達したとき、思わずのけぞるほどの鋭い快感が、腰から一気に駆け上がってきた。 「あ…っ、そこ…そこ、もっと…」 栄司が隼人の願いを忠実に叶えてくれる。何度も繰り返しそこを擦られて、頭の中が沸騰しそうなほど気持ちがいい。栄司の動きに合わせて隼人は一気に昇りつめ、まるで高く高く、空の果てへと吹き上げられたような気がした。

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