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11 海の底
栄司の呼吸が浅くなっていく。見つめると、見たこともない切羽詰まった表情をしていた。いつも冷静なこいつが。
たまらなくなってぎゅっと抱きつく。同じ強さで抱きしめ返されて、幸福感に包まれた。
「あ…も…いく…」
「…うん、俺も…」
自分の中で栄司が熱く硬く張り詰めていく。奥深くまで突き立て隼人を侵す栄司の呼吸と動きが早くなる。その背中に爪を立てながら、隼人は抑えがたい嬌声をあげた。
「あっ、あっ、あああ…っ」
これ以上ないほどに高まった快感に悩ましく身悶えしながら、栄司と一緒に空の彼方まで昇りつめる。
栄司が耳許で小さく呻き声をあげたと同時に果隼人も果てた。
隼人の白濁が二人の腹を濡らし、栄司のそれは隼人の奥深くまで何度も何度も注ぎ込まれる。
あまりの快感に隼人の体は痙攣し、びくびくと震えながら全身で栄司にしがみついた。
終わりがないかと思えるほど長い絶頂を、きつく抱きしめ合ったまま耐えた。それから、ゆっくりと海の底へ沈んでいくような感覚。
しばらくして栄司がゆっくりと顔をあげ、そっと口づけた。それからまた抱きしめられる。
隼人を激しく苛んだ快感が少しずつ薄れていくと、これが最期の夜だというのが甦ってきた。
名残惜しい。でも、もうすぐ皆帰ってくるはずだ。栄司も同じことを思っていたようで、ゆっくり体を起こすと隼人にもう一度口づけて服を着始めた。隼人もそれに倣う。
そうして何事もなかったように身支度を整えてから、皆の足音が聞こえるまで、寝台に手を繋いで横たわり、額をつけて言葉もなく見つめあっていた。
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