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第7話
片付けを終わらせる間も、電気を消して戸締まりをしている時も、僕達の間には特に会話は無かった。
この後どうするのか。
これからはどうなりたいのか。
けれど、雄弁な彼が口をつぐんでいるからこそ、その気持ちが伝わってくるような気がする。
チラリとこちらを窺い、そっと後ろ手に伸ばされる指先。
憧れ焦がれたそれに僕はしっかりと指を絡める。
夜だと言うのに、うなじを撫でていく風は何故だか暖かく思えた。
No.7
果林
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