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第8話
「あの……勘違いではないですよね?」
少し硬くなったその表情に不安が見え隠れする。
春の風に舞うひとひらの花弁のようにたゆたう君のその瞳。
「僕が貴方との距離を間違えているのなら、そう言ってください」
普段は口数の少ない君のその言葉に自尊心がくすぐられる。
想いを募らせていたのは、僕だけではなかった。
「貴方はどうしたい?」
意地の悪いその問いに泣きそうな顔になった君のその唇を優しく覆った。
No.8
わらび
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