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第4話
先輩に優しい言葉の一つでも期待した僕がバカだったのだ。
僕のバカバカバカ!
「多分今日の昼の放送は俺に客がたくさんくる。お前はそれを止めろ」
「はあ?」
「お前だって俺が好きなんだろ?」
「なっ!何言って.....」
「ああ違った。俺の声が、か」
こんなヤンキーみたいなやつだと思ってもそのヤンキーから紡がれる綺麗な声に背中が痺れた。
「俺の声が好きならわかるだろ。朝の放送で俺が今日担当だとわかったら昼に放送室に来るやつが居るんだよ。めんどくせぇ」
デッキが置かれた机の上にドカッと足を乗せて舌打ちをした。高そうなCDデッキの身が心配だ。
「そんなわけで放送室の周りが人だらけになんだわ。そうすると俺の放送に支障がでンだろ?」
「はぁ」
「だからよろしくな、祐介く・ん」
妙に韻を踏んで僕の名前を呼ぶ先輩にまた腰が砕けそうになる。
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