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第13話

**  家にはすでに、ジュンタの姿があった。 「おかえり」 「ただいま」  俯いて、申し訳なさそうにジュンタは俺を見た。リビングのソファでテレビを点けているが、観ているわけではないようだ。 「大丈夫だった?」  外見的な傷はないように思える。制服から着替えて、緩いジーンズに大きいトレーナーを着ている。 「うん。・・・・・でも、ごめん。巻き込んじゃって・・・・」  俺は咲良に無理矢理楢原コーポの漆黒の高級車に乗せられ、自宅に送られた。怪我もない。気分は良好。けれどジュンタが絶対に俺を心配しているという確信があった。 「気にしないで。巻き込まれただなんて思ってないから」  誰にだって拭いきれない過去がある。そう思うと、ふと、自己防衛で祖母を刺し殺した記憶が思い浮かんだ。遠い昔のせいで曖昧だけれど。 「オレが、守るから」  拭いきれない過去が、今に影響しても。俺がジュンタを守る。 「・・・・・ありがとう」  ジュンタが俺を守る。そう言ってくれた。でもね、ジュンタは俺が守る。 「さて、と。ご飯、作るよ」  俺は時計を見てから、自室に戻り着替えると、キッチンに向かった。    夜は眠れなかった。ジュンタの過去が重かった。きっと苦しんでいる。 「大城と、別れを告げろ」  頭に何度も過ぎった咲良の言葉。体育館倉庫で言わないことを選んだ。  咲良に強要された言葉なんて口にする必要ない。  俺が傍で守っていなくちゃならないのだから、言う必要なんてない。

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