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第14話
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サック~は何も俺に言わんケド、オレなんとなく気付いてるつもり。サック~と咲良ちゃんの仲がぎこちない雰囲気なのはクラス中の皆が知ってるコト。ぶっちゃけた話、双子のクセに面影くらいしかないっていう似てなさ。鼻の形が少し似てるのと喋り方がちょっと似てるくらい。
一昨日の放課後は驚いた。
オレに会った瞬間舌打ち。物凄い形相。
「咲夜を頼むよ」と不気味に言われた。兎にも角にもサック~と咲良ちゃんは仲が悪い。よく分からない家庭事情らしい。クリスマスに飲んだシャンパンに酔って寝たオレになんか語っちゃってたし。サック~。聞こえてたもんね、オレ。そういうことするシチュエーション好きとかなかなかロマンチストで気色悪いと思っている。
ある意味、似てると思う。オレと、サック~。
やっと見つけた居場所だ。
家族から必要とされなかったオレにとっての唯一の居場所。サック~の隣。だから護りたかった。居場所を。でもそれより自分はサック~を守りたい。
オレの幼馴染みで、慕ってくれた山村。組長からオレを庇ってガラスで殴られて傷まで残して。そうまでしてくれたのにオレが脱退したから。恨んでるのか。
巻き込まないように。もう巻き込んで誰かを傷つけないように。
いつも通りに登校。サック~は、もう教室にいた咲良ちゃんに腕を引かれ、どこかに連れて行かれた。このパターンを知っている。
仲が良いわけじゃない。これは兄弟の、双子のスキンシップじゃない。
サック~は何も言わない。でもサック~はきっと傷付いてる。咲良ちゃんがサック~に何かしたのは知ってる。サック~にそれを知らないフリをすんのは、すっげぇツライ。目の前に居るのに、力になってやれない。目の前にいるから力になれない。でも訊いたら、余計に傷付くのは知ってる。つらいけど。サック~が余計傷付くなら、オレはツラクていいから。
また何かされてサック~が傷つかないように、オレは咲良ちゃんを探しにいく。
何もできなくても。
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