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第15話

********   俺が家の玄関に立つと、ジュンタの靴が無かった。玄関に置いてあった大きな犬のぬいぐるみのシロも、ピンクの花を咲かせるサボテンも。 「ジュンタ?」   まさかと思い、急いでリビングに向かう。   授業で作った歪なテディベア。小さな観葉植物。ジュンタの座布団。無い。無い。無い。   ぽつんと写真立てが伏せられているだけ。 「ジュンタ?」   ジュンタの部屋へ向かい、ドアを恐る恐る開く。   何も無い。新品に近い状態の机がぽつんと、その存在を主に主張するように置いてあるだけだ。   ふと脳裏を過ぎったのは、メール。携帯電話を焦って開き、メールを打つ。「今、何処にいるの?」と。   送信ボタンを押す。すぐに返信がくる。急いで開く。エラーレポートの通知。    焦った。身体中がかぁっと熱くなる。   電話を掛ける。しかし、御留守番サービスセンターにしか繋がらない。    涙が溢れた。捨てられた。いや、俺が捨てたんだ。俺が裏切ったんだ。俺がジュンタを追い出したんだ。    ぽたぽたと音を立てて、床に透明な水玉模様を刻み付けていく。 「ジュンタ・・・ジュンタ・・・・」    また一人。また、ずっと一人ぼっちで生きなきゃいけないの?    俺は、もう独りになる事は無いと思ってたのに。 「ごめん。ごめん・・・。ごめん」   独りで      住むには広すぎて。   一人で 「ジュンタ・・・・・・」    こんな静かで、広いんだね、この家。

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