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第15話
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俺が家の玄関に立つと、ジュンタの靴が無かった。玄関に置いてあった大きな犬のぬいぐるみのシロも、ピンクの花を咲かせるサボテンも。
「ジュンタ?」
まさかと思い、急いでリビングに向かう。
授業で作った歪なテディベア。小さな観葉植物。ジュンタの座布団。無い。無い。無い。
ぽつんと写真立てが伏せられているだけ。
「ジュンタ?」
ジュンタの部屋へ向かい、ドアを恐る恐る開く。
何も無い。新品に近い状態の机がぽつんと、その存在を主に主張するように置いてあるだけだ。
ふと脳裏を過ぎったのは、メール。携帯電話を焦って開き、メールを打つ。「今、何処にいるの?」と。
送信ボタンを押す。すぐに返信がくる。急いで開く。エラーレポートの通知。
焦った。身体中がかぁっと熱くなる。
電話を掛ける。しかし、御留守番サービスセンターにしか繋がらない。
涙が溢れた。捨てられた。いや、俺が捨てたんだ。俺が裏切ったんだ。俺がジュンタを追い出したんだ。
ぽたぽたと音を立てて、床に透明な水玉模様を刻み付けていく。
「ジュンタ・・・ジュンタ・・・・」
また一人。また、ずっと一人ぼっちで生きなきゃいけないの?
俺は、もう独りになる事は無いと思ってたのに。
「ごめん。ごめん・・・。ごめん」
独りで
住むには広すぎて。
一人で
「ジュンタ・・・・・・」
こんな静かで、広いんだね、この家。
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