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第30話

*  「青空君、大丈夫?」   咲良に命令されたとかで、咲夜は青空と咲夜の家に帰った。   何時間か前に目の前で陵辱されていた少年はとても体調が悪そうだ。 「はい・・・・・すみません」   真っ白い肌は冷たい。 「家で、休んでいく?」 「いえ、大丈夫・・・・・・」 「寄って行きなよ。寄って行って」   一人で住むには大きすぎるベージュ色の家。 「・・・・・・・・はい」   咲夜は玄関の未だに錆を知らない金色のドアノブの下にある鍵穴に、ポケットに入った金色の鍵を差し込む。   カチャっと音がして、咲夜は扉を開いた。   一人にはやはり大きい家だ。玄関は広々としている。   靴はもう咲夜のしかない。 「広い・・・・・」 「使ってない部屋、殆どだよ」 「一人暮らしなの?」 「今はね。つい最近までは、二人だったんだ」    青空には分かっていた。この家には憎き敵が居た事を。    それでも、コトを上手く運ぶには、知らないフリをするしかない。   全額負担などという憐れみは捨て、入院費を払って、祭音も目覚めれば。もうそれ以上に願う事は無い。その後は大城隼汰を殺害して、出頭しようと思う。 「・・・・・へぇ・・・・・」 「本当は、別れたくなんて、なかったよ・・・・・・?でも、俺だって、ちゃんと・・・考えて、それで・・・・・・」 「何かあったの?相談なら、聞くのに」    咲夜は青空を広いリビングに案内する間に口を開いた。 「・・・・・・咲良は財力で、多少の犯罪なら揉み消せるんだよ・・・・。だからっ、脅されたんだ・・・・・。ソイツと別れないと、犯罪に巻き込むんだって。俺を、じゃないよ。ソイツを」    青空は、俯く咲夜を見ると、静かに目を伏せた。 「それで?別れたの?」    黙って頷く咲夜。そう、仕方無い。誰が好き好んで犯罪に大事な人を巻き込もうとするだろう。でも青空には思い当たる節があった。    最愛の妹を輪姦された挙句、暴力まで振るわれて。今はただ生きているだけ。彼女は話せない、見えない、聞こえない、目覚めていない。呼吸をし、栄養を針を通して与えられ、一日中眠ったままの生活。 「そうなんだ」    ぐるぐると脳裏で渦巻く記憶。 「どうすれば、よかったんだろ」  ・・・・・どうすれば、よかったか?   理想は知っている。現実も十分、分かっている。しかしながら、もう一つの選択肢が何だったかまでは考えていなかった。 「・・・・・どうすればよかったかなんて、知ったら、余計後悔するんじゃない」   多分。いや、絶対。 「そうでしょう・・・・?結局、後悔に押し潰されて、身動き出来ないのは、君だ」    唆すように、青空は言った。まるで自分に言うように。 「でも・・・・」 「そうやって、もし、もし、って、アテの無いもう一つの選択肢に縋るんだろ?そうすれば、後悔ってだけで済むもんね・・・・・?」 「青空君・・・?」    ただ生まれてきた黒い感情。たまにそれに蝕まれて、侵食されて、支配されそうになる。 ――――出てくるな・・・・、出てくるな・・・・ 「青空君?」  彼が、「私」を呼ぶ。  咲夜が青空の頬に触れた。 「咲夜・・・サマ・・・・?」  青空の額からは冷汗が噴いている。 「大丈夫?」 「は・・・い・・・すみません・・・・」            青空君に触れたい。  青空を2階の自室に通して、適当に座らせる。鼓動がうるさすぎて、隣に座ることが出来ない。 「きっと、今日は、疲れてるんだよ」  咲夜はそう言って1階にある冷蔵庫に向かった。  前の同居人しか飲まない牛乳と、野菜ジュースは置き去りのまま。  牛乳も野菜ジュースも客人に出すには好き嫌いが極端な気がして、麦茶を出す。コップは、ジュンタが好きだったキャラクターがプリントされたコップを選んだ。二人で買ったものだから、持って行かなかったのだろう。  咲夜はトレイに乗せ、2階に持っていた。 「青空君?」  すーすーと寝息を立て、彼は寝ていた。 「青空君・・・・・?」  胸元のボタンが外れて、白い肌に浮かび上がる鎖骨が覗ける。           触れたい。           彼に、触れたい。  すっと手が伸びる。頬に、首筋に、そして鎖骨に。          胸が高鳴る。身体が熱い。 「俺じゃなくたって、咲良には青空君がいるのに」          毎日彼に触れるのだろうか。この、美しすぎる肌に。 「咲・・・サマ・・・・?」            咲良と間違っているのかな。  青空ははっと、目を覚まして上体を起こした。 「咲夜・・・・君・・・・・」  青空は後退る。 「あっ・・・・ごめん・・・・・」           でも止められない。 「ごめん・・・・っ青空君」  咲夜は青空の後頭部に手を回し、口付ける。そして首筋を舌で辿っていく。 「咲・・・・夜・・・君・・・・?」  咲夜は首筋から舌を放し、真っ直ぐ青空の瞳を見つめた。 「好き・・・・・」 「え・・・・・・?」 「ごめん、やめられない」  青空の唇に貪りついた。 「やめてくださっ・・・・・・・!」     ―――主以外の者に、身体を許すのか・・・・・・・?―――       話しかけるなっ・・・・・!     ――――助けてやろうか・・・・?―――        だめだ、だめだ・・・・やめろ・・・      ―――助けてやるよ。お前に酷いことスるやつの兄だろ?―――       やめろ、私に話しかけるな・・・・・っ       どれだけ好きな人でも、主以外の者に身体を委ねるなんてことは出来ない・・・・・     ――― 俺がヤってやるよ ――――  青空は身体を一度大きく波打たせ、瞳を閉じた。 「青空君・・・・?」  そして、瞳が開く。ぎらぎらと怪しく光る双眸。 「脱げ。俺がアンタを抱いてやる。俺の似非主人格の代わりになぁ?」   舌を出して、人を馬鹿にした様にそう言い捨てる青空。 「青空君・・・・・」   青空は後退さる咲夜に歩み寄って行く。 「青空だぜ、顔はな。信じられるか?」  か弱い少女のような青空から、好戦的な男らしい顔つきの青空。 「・・・・・」  呆然としている咲夜の制服に青空は手をやった。 「お前の弟にこいつがどんな風にされてるか、教えてやるよ」 「ちょっ・・・・・青空!!イタイッ」   青空は無言で、部屋の入口の隣にある大きな鏡を一瞥した。 「青空く・・・」   青空は咲夜の制服のボタンを外していく。   時計の時間を刻む音。ちょっとした衣擦れの音。互いの鼓動。   一人しか居ないかのような錯覚。目の前に居るこの美少年は、ただ黙々と咲夜の衣服を剥いで行く。 「ヤダ!!!」   咲夜は青空を押し返す。しかし青空は一回咲夜と目を合わせ、作業を止めたただけで、また作業を再開しだす。 「や、だ・・・・・。やだ・・・・・いやだ、青空くん!」    パンッ 「ご・・・・・め・・・・・・ん」   青空から逃れようと、振り回した手が青空の頬にぶつかったのだ。 「・・・・・・・」   咲夜は、目を見開いた。無言。何も言わない。   咲良にレイプされた時の感覚が未だ残っている。感触さえも。青空の触れ方が、咲良に似ていたから。 「ひっ・・・・いやぁっ」   咲夜は座っていた真っ白いシーツの張ったベッドに寄りかかって、床の上に座り込んでいた。   青空は自分の制服のネクタイを緩め、解いた。 「お願いッ・・・・・縛らないで・・・・・」    頭を振る咲夜。しかし咲夜の懇願も聞いてはもらえず、青空は咲夜の腕を乱暴に取る。咲夜の知っている青空はもっと非力だったはず。   キュッと音がして、咲夜の腕は一つに束ねられた。   青空は表情一つ変える事無く、咲夜の首筋に指を当て、鎖骨、鳩尾を辿っていく。 「っ・・・・!!!!」   青空が胸の突起に触れると変な感覚が咲夜を襲う。   青空は口の端を吊り上げるように笑う。 「テメェの弟に、こうやってヤられたさ」   咲夜は目を見開いた。 「・・・・・?」 「まぁ、ヤられてたのは俺じゃない方だがな」   青空は咲夜の怯えを貼り付けた顔を両手で掴むと、顔を近づけていく。   青空の乾いた唇が咲夜の唇に触れた。 「抱いてやるよ。テメェの弟みたいに」   青空は唇を離すなり、そう言い出した。 「精々、恨むんだなぁ、弟を」 「・・・・・・イタイッ・・・・・」   青空は咲夜のスラックスをすべて脱がせると、後孔に指を挿れた。 「抜いて・・・・」   青空は咲夜の肌蹴た制服の隙間から、日に焼けていない肌を右手で弄る。 「・・・・・っ」  胎内に侵入してくる指が増えたのが分かった。 「声、抑えなくていいんだぜ?アンタの弟は、俺に猿轡嵌めやがったケドなぁ!?」   左手で頭の上で縛り上げられた腕を掴み、青空は咲夜の頬を舐めた。 「青空く・・・・・・」 「・・・・・・つまらねぇんだよ、男同士のセックスなんてよ」  青空は指を抜いた。 「じゃぁ・・・・や・・・め・・・」  大雑把に慣らされ、ヒクヒクと収縮を繰り返す後孔。 「やめねぇ。人の恐怖に慄く姿はたまらねぇ。泣き叫べ。怯えろ。俺に“助けて”と懇願しろ」   咲夜はぽろぽろと涙を零す。 「舐めろ。上手くやればやめてやらないこともない」   青空にも当然あるその器官を見て、初めて本当に男であると実感した。 「オレの妹も・・・・・、もしかしたらお前のオトモダチもやったことあるんじゃないか?」        ジュンタ・・・?  場にそぐわない大城隼汰への愛情がおかしな背徳感を募らせると同時に、背筋が冷たくなった。   咲夜は口を開いた。青空のソレが容赦なく口内に入っていく。唾液をまぶしながら、舌で舐め上げていく。  それなりに上手くやったつもりだった。 「放せ。下手なのはよく分かった」  青空は咲夜の背後に周り、四つん這いにさせると、後孔に半勃ちになった器官を挿入していく。 「あぁ・・・っ」 「きついな・・・・力抜け・・・・」  大きく息を吐くと、奥の方まで侵入してくる。 「痛っ・・・・苦しい・・・・いやだ・・・・」 「お前が仕掛けてきたことだろ・・・?」  一気に最奥まで貫かれ、腸壁が押された。 「あ・・・はああああっ」 「こいつのこの顔は魔性なんだよ・・・っ。。なんでも惹き付けちまって・・・・くそ・・・・」  声質は変わらないが青空より若干低めの吐息交じりの声に耳元からぞわぞわとした快感がやってくる。 「ぅんっ・・・あ・・・・」 「力抜けって・・・・っ」 「で・・・きない・・・!」  青空の手が咲夜自身に伸ばされる。 「あ・・あああ・・・・ん・・・ああ・・・・」  青空は咲夜を軽々しく持ち上げ、青空は咲夜の体内に自分自身を挿入したまま、胡坐をかきだす。   青空のを咲夜の体重をかけて含み込まされる。 「いやああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」   馬鹿笑いしだす青空。目の前にある咲夜の白い項を舐める。   咲夜の膝裏に手を掛け、左右に開かせる。 「前、見てみろ」   入口の隣にある大きな鏡。 「い、嫌っ!!!やだ!やだ、やめろ!!!!!!!」   咲夜は暴れだした。 「まぁ、まぁ、よく見てろ」   青空は膝裏に手を掛けたまま、咲夜を持ち上げた。 「うぅっ!!!」   青空の半分が咲夜の体内から抜かれ、鏡には、青空と咲夜が繋がっているコトを生々しく鮮明に映し出されている。 「お前の代わりにケツにおかしなオモチャ突っ込まれて一日中放置だ」 「それに、まだマトモな方だぜ?オレはビデオカメラで撮影までされたんだからな」   フンと鼻で笑って、半分咲夜の体内から抜いた青空のを、再び埋め込む。 「うぐっ・・・・・!!!」 「へぇ、勃ってんじゃん」   躊躇う事無く、青空は咲夜のを握った。 「いっ・・・・」 「イケよ」   上下に手を動かし扱きだす。 「んっ・・・・」 「テメェの弟には散々されたんだぜ?」 「んん・・・・はぁっ・・・・」 「ただ、コイツはお前のことが大事なんだ、おそらくな」 「あぁっ・・・んく・・・っ」 「それならオレがやることは、コイツを尊重すること」 「ごめ・・・・なさぃっ・・・」  咲夜を床に寝かせ、覆い被さりながら、前立腺をついてやる。 「ひぃあああああっ」  下で泣きながら嬌声を上げる咲夜が愛おしく感じる。 「憎い。お前も、お前の弟も、お前のオトモダチも、オレの妹も・・・!」 「いやぁっ・・・・あああ!何か・・・出るっ・・・・!」  はち切れそうに堅くなった咲夜自身から手を放した。 「あ・・・・・」 「オレはオレ以外要らない・・・・っ」           でも「オレ」がそれを望んでない。 「くそ・・・・」  咲夜をきつく抱き締め、腰の動きが速くなる。 「ん、あぁあああああっ」  そして最奥まで貫き、果てた、と同時に咲夜も二人の腹を白く汚した。

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